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「バルサがメッシ退団後初のリーガ制覇」間近なクラシコの“喜びと憎しみ、一瞬のリスペクト”を撮った「18歳ガビが倒れたレアルDFを…」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/03/25 17:01
チャビ監督が率いるバルサがマドリーを下したクラシコ。リーガの覇権争いはほぼ決まったか
クラシコらしい激しい攻防と、リスペクトあるシーン
ここからゲームは一進一退、中盤での“文字通り”激しい攻防が繰り広げられた。その中でも、ガビが倒れたカルバハルに手を貸して起こすなど、リスペクトあるシーンも多かった。
どこを切り撮っても、モドリッチとブスケッツ、アラウホとミリタン、ブスケッツとベンゼマの両キャプテンの争い、さらには今やマドリーの中盤に不可欠なバルベルデ(クラシコ後にウルグアイ代表に合流し、日本戦で豪快なシュートを決めた)など、見どころ満載のシーンが増えていく。モドリッチが見事な胸トラップからボールをコントロールする際には――ガビ、ブスケッツがその絶妙な間合いの取り方にプレスをかけられず、足が止まっているように見えるほどだった。
前半終了間際45分、レバンドフスキーが前線でボールをコントロールしクロスを送る。逆サイドまで流れたボールをアラウホが繋ぐと、ゴール前の混戦からこぼれたボールをセルジ・ロベルトが落ち着いて蹴り込み、1-1でハーフタイムを迎えた。
後半開始早々、目の前で狙っていたビニシウスとアラウホの対決を撮影できた。
まずはヨンニッパという超大型レンズで2人の表情を。
次のシーンでは、ややワイドレンズに切り替え、全体を切り撮っていく。
相手を抑えたウルグアイ人は右手を強く握り締め喜びを表した。
また丁々発止、“言葉の闘い”でも優位な状況を作り出そうとする。ただ意図せず顔に手が当たったようなシーンでは、プレー後に謝る様子が見られたり、プレーが止まった際には笑顔を見せつつ話す様子も見られた。
81分、カルバハルのクロスを途中出場のアセンシオがダイレクトで合わせ、マドリーがリードを奪った。が、VARによってわずかにオフサイドポジションにいたことが判明し、ゴールは取り消されてしまった。
後半アディショナルタイムに入り、このまま試合は終わるかと思われたが、92分、サイドで起点を作ったレバンドフスキがヒールでバルデにパス。それまでクロスに精度のなかったバルデだったが、この日最後の折り返しは、ボックス外から走りこむケシエの元へ。落ち着いてゴールへ蹴り込むと、ファンの元へ駆け寄り、喜びを分かち合った。
ピッチに一番近い場所でクラシコの空気を味わうことが
2-1とバルサ逆転で試合終了を迎えると、優勝を確信したかのようにピッチ中央で輪になり喜ぶバルサメンバーの姿があった。途中出場セバジョスと控えGKアルナウの間でイザコザが起こる場面もあったが、ホームチームの勝利に、スタジアムを大きな喜びが包んだ。技術面、そして気迫面共にレベルの高い、見応えのあるクラシコだった。
最初の撮影ポジションにいれば、セルジ・ロベルトの喜びが真っ正面だったな、ケシエのゴール後のセレブレーションを近くで撮りたかったな――という気持ちもあるが、
ビニシウス対アラウホの狙い通りの絵も撮れたし、ガビ対ミリタンの写真もお気に入りだ。
なにより、ピッチに一番近い場所でクラシコの空気を味わうことができた。
4月5日には、国王杯2ndレグのクラシコが待っている。このままマドリーが黙っているとは思えない。次のクラシコ撮影が早くも待ち遠しい。