セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「オオタニは地球代表アスリート」WBCイタリア選手が語る“ニッポン愛”「タイセイからのヒットは一生忘れない」「スシ、ワギューも!」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byKenta Harada/Getty Images
posted2023/03/25 11:00
大勢からヒットを打ったイタリアのアルベルト・ミネオ。彼に“ニッポン野球”の印象について聞いてみた
「6回あたりから『いつでもいけるように準備しておけ』と言われて、ウォームアップと集中することに努めました。監督が僕にプレーさせようと考えているのを知っていたので期待に応えたかった。代打を告げられたときは気持ちが高ぶりましたね。打席ではあえて周囲を見ないようにしました。あまりに試合の興奮がすごすぎて、そうしないとバッティングに集中できなかったんです」
――ヒットで出塁した後、後続が続かず塁上でゲームセットを迎えました。
「“ああ、冒険の旅が終わったんだな”と思い、目を閉じました。少しだけ感傷に浸りたかったんです。それから目を開けて、日本の勝利を喜び祝福する何万というファンで埋まった球場全体をゆっくり見渡しました。この素晴らしい光景を心に留めておこうと思ったんです」
堅守と破壊力が噛み合った驚異のチームでした
――日本と戦った感想は。
「堅守と破壊力が噛み合った驚異のチームでした。投手が正確にストライクを放って攻撃側に与えてくるプレッシャーがすごい。本来攻める側がプレッシャーを与えるものなのに。守備側に回ってもあらゆる打順のバッターから気を抜けない。日本の選手は怪物級ばかりですよ。そうそう、実は2012年にソウルでの(第25回IBAF)18U世界野球選手権で、大谷(翔平)と対戦したことがあるんです(※7-1で日本勝利)。当時からすごい才能の持ち主だと思っていましたが、今や彼は地球を代表するアスリートですよ!」
――今回のイタリア代表には国内トップリーグであるセリエA組があなたを含む4人しかいなかった。残りのロースター26人は全員がイタリア移民のルーツをもつメジャーや3Aの選手たち。国内のファンにはWBC代表のあり方を疑問視する向きもあったようですが、軋轢や不和はなかった?
「チームの団結は堅かったですよ。仮にイタリアで生まれ育った選手だけで代表チームを編成したとしても、上位国にはとても太刀打ちできない。それは国内組の方がよくわかっています。むしろ僕らセリエA組は、ニッキー・ロペス(ロイヤルズ)やデビッド(エンゼルス)とドミニク(ダイヤモンドバックス3A)のフレッチャー兄弟ら北米出身者たちのモチベーションの高さに驚かされた方です。彼らへの恨みとか妬みといったものは絶対にないですよ。ともに戦える有り難さでいっぱいでした。東京の準々決勝まで行けたのは彼らのおかげですよ」
スシ、ワギューも食べましたよ!
――試合以外で日本を楽しむ時間はありましたか?