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「オオタニは地球代表アスリート」WBCイタリア選手が語る“ニッポン愛”「タイセイからのヒットは一生忘れない」「スシ、ワギューも!」
posted2023/03/25 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Kenta Harada/Getty Images
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、日本の3度目の優勝で幕を閉じた。
準々決勝で侍ジャパンに敗れたイタリア代表チームは試合の翌日、東京の空港で解散した。チームのほとんどを占めていたメジャーリーガーや3A選手たちは北米大陸へ向け旅立ち、イタリア本国へ帰国したのは4人のセリエA組だけだった。
戦いは終わった。しかし、イタリアには野球の春がやってくる。
「東京ドームで打ったヒットは一生忘れませんよ」
日本戦の9回表に代打出場し、大勢からセンター前ヒットを放ったアルベルト・ミネオは、帰国後すぐに仕事へ戻った。彼の本業は、野球のセリエAクラブ「1949パルマ・ベースボール・クラブ」の正捕手だ。
パルマは昨季、欧州チャンピオンズ・カップで優勝したヨーロッパ王者だ。サッカーで喩えるならUEFAチャンピオンズリーグにあたる大会を15回も制している同クラブは、紛れもなく欧州ベースボール界の名門といえる。
今シーズン開幕に向けクラブでの練習に合流したミネオが、マイアミや東京から遠く離れたイタリアの古都にWBCの熱狂を感じとることは難しい。だが、彼の脳裏には日本での記憶が今なお鮮やかに刻み込まれている(#1、#2も)。
礼節正しく接してくれる日本のファンにも感動しました
「東京ドームに一歩入った瞬間から、試合の最後の瞬間まで夢見心地でした。ロッカールームから通路を抜けてグラウンドに出たとき、ここはベースボールに満ちた国だ、特別な場所だと肌で理解できました。僕は10代から米国で8年プレーしましたが、あんな感動を覚えたのは東京ドームが初めてです。熱狂的なファンで満員のスタジアムを見るだけで胸が熱くなって……対戦国にも礼節正しく接してくれる日本のファンにも感動しました」
――準々決勝を前にマイク・ピアザ監督からの指示は?
「監督は『日本を相手にいい試合をしようと思うなら、完璧なゲーム(運び)をしなくてはならない』と繰り返していました。小さなミスにも気を配るのはもちろん、日本の投手の1球1球に100%の注意を払え、絶対に相手を甘く見るな、とも言われましたね。5回くらいまでは何とか(ワンサイドゲームにならないよう)食らいついていけたと思います。あの試合での僕らの目標は“日本を相手に好ゲームをする”ことでした。日本のファンは目が肥えている。彼らの前で恥ずかしくない試合をしようと」
日本の勝利を祝福する光景を心に留めておこう
――台湾プール4試合で出場機会はなかったものの、日本戦の最終回にようやく代打で出番が回ってきました。