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「オオタニは地球代表アスリート」WBCイタリア選手が語る“ニッポン愛”「タイセイからのヒットは一生忘れない」「スシ、ワギューも!」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byKenta Harada/Getty Images
posted2023/03/25 11:00
大勢からヒットを打ったイタリアのアルベルト・ミネオ。彼に“ニッポン野球”の印象について聞いてみた
「今大会のイタリアは大会を通して闘志に満ちていた。この姿勢こそ今後の代表チームが受け継いでいくべき財産だと思う。緒戦の中国戦から決勝でのアメリカに至るまで、いかなる相手にも全力で戦った日本こそ模範だ」
準々決勝の翌日、イタリアの大会敗退を伝えた地上波民放TVはなかった。サッカーが完全優先される一般紙のわずかなスポーツ面では1行も触れられず、スポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』ですら“その他競技”をまとめた34頁目に試合結果と流れをなぞった短い記事が掲載されただけだった。
大谷が話した決勝戦後の言葉を、欧州でも
この夏で29歳になる捕手ミネオの出身地は、イタリア北東部とスロベニアとの国境にある小さな町だ。セリエA選手だった父親の影響で6歳から野球を始めた。
16歳のときにシカゴ・カブスと契約し渡米、必死で練習に明け暮れながらステップアップし、3Aでプレーした。3年前から母国に帰り、パルマでキャッチャーミットを構える。
「今季の一番の目標はやはりスクデット(=セリエA優勝)。それから9月の欧州選手権ですね」
やはりWBCを経験したクラブの僚友マッテオ・ボッキ投手とともに、4月15日のセリエA開幕に合わせて調整が続く。
ミネオがイタリアへ帰国した翌19日、チームはシュツットガルト・レッズ(ドイツ)をホームに招いて、シーズン最初のオープン戦を戦った。防衛を目指す欧州チャンピオンズ・カップは今季の組み合わせ抽選が済んでおり、各国の強豪が揃う1次フェーズの対戦相手には、パーダーボルン・アンタッチャブルズ(ドイツ)やアムステルダム・パイレーツ(オランダ)、ドラーチ・ブルノ(チェコ)といった見慣れない名前が並ぶ。
遥か高みにあるWBC優勝国とは何の縁もないかもしれない。
しかし、決勝後にMVP大谷が言ったじゃないか。
「他の国の人たちがもっともっと野球を好きになるように頑張りたい」と。
この星の上で野球は続く。
イタリアに、ヨーロッパ中に、野球の春が咲く。
<#1「イタリア野球のリアル評」編、#2「イタリア野球を経験日本人のビックリ秘話」編からつづく>
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