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「(大谷)翔平に初めて二刀流の話をした時、無表情だった」ヌートバーとダルも招集…なぜ栗山英樹監督はアツいのか「熱闘甲子園を思い出すんだ」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/18 11:01
イタリア戦後、岡本和真を抱擁する栗山英樹監督。その指導者スタイルとは?
大谷は花巻東高時代、日本のプロ野球を経ずに直接メジャー挑戦を目指そうとした。そこにあえて真っ向勝負したのが日本ハムと栗山監督だった。ドラフト1位指名を公表して交渉権を獲得すると、大谷のために約30ページにも及ぶ資料を用意。そして、入団交渉で栗山監督が明言したのは投打の二刀流として育成する方針だった。そう告げた時の大谷の表情は栗山監督が語る通りだが、ともに戦っていくことで、わかったことがあったという。
「翔平って、大事なときにはそういう反応になるんだって。(中略)やらなければならない使命があるときほど、『はい』と言いながら、身体に伝わったな、という表情をするんだ」
WBC開幕前に語っていた“非情さというか…”
<名言3>
いつでも代える前提で選手には話をしているつもりですし、そうすることがすごく重要なことかなとも考えています。非情さというか……それが逆に、一流の選手に対する優しさなんだと思うんですね。
(栗山英樹/NumberWeb 2023年2月12日配信)
◇解説◇
今大会で侍ジャパンの切り込み隊長となっているのは、初めての日系選手となったラーズ・ヌートバーだ。大谷の通訳を務める水原一平氏を介して日本代表入りを打診した栗山監督だが、開幕前の段階から各メディアで〈100%好きになる選手です〉と話していた。この予言はまさに的中と言ったところだろう。
ただその一方で、選手の状態を見極めて采配を振るうことを大会前の「NumberWeb」のインタビューで明かしている。
「近ちゃん(近藤健介外野手、ソフトバンク)はセンターで使ったりもするし、どこでもできる。(ヌートバーが)ケガをしたら、すぐ代えられる。ケガをしたり、調子が悪いときに交代というのは考えなければいけない」
それはメジャーから呼んだヌートバーも含めて、だということだった。
この方針は準々決勝、村上宗隆の打順にも垣間見ることができた。1次ラウンドで安打がなかなか出ず苦しんだ主砲に対して、“打順を下げるべきでは”との世間の見立てがあったのは事実。それでも栗山監督は準々決勝の大一番で打順変更を決断したものの、村上を5番打者にしてクリーンアップの一角から外さなかった。そして村上は5回のチャンスにセンターオーバーのタイムリーツーベースを放って期待に応えたのだった。