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「ユニフォームを汚せ!」WBC大活躍ヌートバー“全力疾走&スーパーキャッチ”の秘密…侍ジャパンで“泥臭く頑張る”25歳の日常とは?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNanae Suzuki
posted2023/03/12 11:03
ユニフォームを土まみれにして侍ジャパンのために走るヌートバー。いまや、侍ジャパンに欠かせない選手になっている
田口がカージナルスの後輩、ヌートバーと対面したのは、WBC初戦の2日前。日本代表が京セラドームでオリックスと対戦した7日の練習中のことだった。
「ヌートバーのほうから、『タグチさんどこですか?』みたいな感じで探して来てくれて。彼も僕のことを知っていてくれたみたいです。今でも向こうでちょこちょこ名前が出るみたいだし、まあ単にアジア人だから覚えてくれているのかもしれないですけど(笑)。
セントルイス仲間なので、『わざわざ来てくれてありがとね』という感じで挨拶をして、セントルイスの話をちょっとしましたね。(アルバート・)プホルスやヤディ(ヤディアー・モリーナ)が引退したね、とか、(アダム・)ウェインライトが最後の年やなーとか、ごく普通の話です。
本当は時間があったら、飯とか連れていってあげたいぐらいなんですけど。あそこはものすごくファミリーなチームなので。一度入ったら、みんなファミリー。お互いに尊敬できるし、僕も現役の時はOBの人たちに随分可愛がってもらいました。ルー・ブロックとか、ボブ・ギブソンとか。そういうところがあのチームのすごくいいところなんですよね」
「すっごく穏やかな感じの子」
ヌートバーと話した印象は?と聞くと、「ナイスガイ!」と食い気味に返事が返ってきた。
「本当にナイスガイです。すっごく穏やかな感じの子ですね。礼儀正しいし。お母さんが日本人だからなのか、日本式のこともちゃんとわかっているし、すごいなと。『日本どう?』と聞いたら、『楽しんでる』って。『自分のやれることを一生懸命やるだけです』という感じでした。十何年か前にもこっちに来たことがあって、日本は初めてじゃないと言ってましたね」
あっという間に、人懐こい後輩の虜になった様子だった。
1番・センターとして先発出場し、初戦の中国戦では初球を弾き返してチーム初安打を記録。韓国戦では0-3とビハインドの場面で反撃の火蓋を切るタイムリーを放ち、気迫みなぎる咆哮で球場を震わせた。
プレーで、魂で、日本代表を牽引し続けているヌートバー。見るものを一瞬で虜にするハッスルプレーは、セントルイスの伝統であり、そこで染み付いたヌートバーの日常だった。
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