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なぜ大谷翔平の二刀流は大舞台で冴えるのか…「子どもの頃と一緒なんですよ」と語っていたこと〈超速191kmタイムリー〉
posted2023/03/11 21:08
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Naoya Sanuki
<名言1>
自分の中で課題を消化するのが野球のおもしろさなのかなと思います。
(大谷翔平/Number881号 2015年7月2日発売)
◇解説◇
WBC1次ラウンド、打者・大谷翔平が大舞台での強さを見せている。
中国戦:四球、遊ゴロ、左2(2打点)、四球、右安、中飛
韓国戦:三振、敬遠、右2、右安(1打点)、四球
第2戦まで7打数4安打3打点の活躍だ。打点を挙げたシチュエーションを振り返ると、中国戦の4回裏に、侍ジャパンが1-0と攻めあぐねる中で、逆方向へのフェンス直撃のツーベースで2点を追加して、チームと東京ドームに詰めかけた観客に安心感をもたらした。
チェコ戦でも191km超高速タイムリー安打
そして10日の韓国戦である。日本は6回表にソロ本塁打を浴びて6-4と韓国に一歩詰め寄られた。しかしその裏につないで1点を追加すると、無死満塁の大チャンスで大谷に打席が回ってきた。韓国はたまらず投手交代し、長髪のリリーフ投手キム・ウォンジュンを送り出してきた。フォークを決め球にする相手投手はもちろん初見なのだが……大谷は初球からそのフォークをキッチリと狙い打ち。ライト前へと運び、一気に流れを引き寄せる2点タイムリー安打となった。
さらに11日のチェコ戦、4回にヌートバーと近藤健介のタイムリーなどでイケイケムードの中、1死二塁のチャンスで大谷。3球目のカーブを引っ張ると――テレビ画面では打球速度181kmと表示されたが――MLBのデータ解析サイトである「スタットキャスト」によると「191km」の凄まじい弾丸タイムリーツーベースヒットとなりチーム6点目をたたき出した。
大谷翔平は大事な場面でとてつもない勝負強さを見せる。それも登板日だろうが登板翌日であろうが、バットでチームを勝利に導こうと奮闘する姿はエンゼルスでも見慣れた姿だ。しかしなぜこんなにも成長しながら結果を残し続けられるのか……。
日本ハム所属時代の2015年、こんな風に語っていたことがある。
「今の相手と今後10年、20年、ずっと対戦していくのなら、このバッターを倒すために必死になるとか、このピッチャーを打ち崩そうとか思うのかもしれませんが、メンツも時代も変わりますし、若い世代が入ってくれば対戦相手もどんどん変わる。だから、思い通りに投げられなかったボールで抑えたことをオッケーにしちゃったら、成長するチャンスを失うことになるし、もったいないじゃないですか」
目の前の相手に勝つことを最終目標にするのではなく、自分の中で課題を見つけ自身の能力を高めていく……この気持ちの持ちようが、どんな場面でも力を発揮する勝負所での強さに繋がっているのかもしれない。
1年目に語っていた「今は周りに何を言われても…」
<名言2>
二つやったから大変だったとか、そういうのは……どうかな。
(大谷翔平/Number841号 2013年11月14日発売)
◇解説◇
投手と打者の“二刀流”を掲げた大谷、プロ1年目のシーズンに臨んで投手としては3勝0敗、防御率4.23。打者としては3本塁打20打点、打率.238をマークした。