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守護神・栗林が侍ジャパン離脱で代役はオリ山崎…では広島の抑えは? 名乗りを上げるMax157km右腕・島内颯太郎 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/03/13 11:01

守護神・栗林が侍ジャパン離脱で代役はオリ山崎…では広島の抑えは? 名乗りを上げるMax157km右腕・島内颯太郎<Number Web> photograph by JIJI PRESS

昨シーズンは入団以来最少の22登板に終わった島内。今季は豊かな才能を開花させられるか

 侍ジャパンにチームでただ1人選出された栗林が、広島にとって絶対的存在であることは言うまでもない。まだ入団3年目の26歳。今後も広島中継ぎ陣を支えていく大黒柱だ。ただ、そんな存在がいない今だからこそ、指揮官は抑えの座を脅かす気概を持った若手の台頭を待っている。

「オープン戦の中で誰が抜けていくか、楽しみたい。一番競争が激しいのはブルペンだとずっと言っている。栗林は替えの利かない選手だけど、彼に追いつき追い越すという気持ちをもって投手陣はやってほしい」

 静かに闘志を燃やしていたのが、栗林と同学年の島内颯太郎だ。普段はおとなしい右腕が、今年は珍しくはっきりと熱い思いを口にしていた。

「昨年は1年間ろくに投げられずに、(チームとして)勝ちパターンも1年通して決まらなかった。中継ぎをやっている以上、そこを目指してやっているが、僕は昨年ほかの人よりもチームに迷惑をかけた思いが強い。勝ちパターンが安定すれば、チームも安定した試合ができると思うので、そこを目指したい」

 語気からは、空席のポジションを狙う意欲以上に、空席にした自責の念すら感じる。

信頼を勝ち取るための課題

 150キロを超える力強い真っすぐと落差のある縦の変化球の威力は、チームの誰もが認めるところ。球質だけを見れば、栗林にも引けを取らない。2021年には51試合に登板してセットアッパーを務めた実績もある。ただ、不安定な制球面と、精神面の弱さが課題とされてきた。

 昨季も勝ちパターンの1人として開幕を迎えながら首脳陣の信頼を勝ち取るまでには至らず、二軍降格を味わうなど登板数を22試合に減らした。

「前はいろんなことを考えすぎていた。今は打者を見下ろすくらいの気持ちでマウンドに上がっているので、あまりマイナス要素が出ることがない。細かいコントロールもないので、ゾーンで勝負するしかない。打たれたのは技術が足りないだけと、いい意味で割り切りができている」

 心の中だけを変えようとしても簡単には変えられない。「野手は投手のしぐさひとつで雰囲気を感じる」と、今年意識的に変えたマウンド上での所作からは、心なしか自信も感じられる。

 WBCで世界各国が熱戦を繰り広げる中、無念の離脱となる侍守護神の同学年右腕も静かなる戦いを続けている。

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