炎の一筆入魂BACK NUMBER
守護神・栗林が侍ジャパン離脱で代役はオリ山崎…では広島の抑えは? 名乗りを上げるMax157km右腕・島内颯太郎
posted2023/03/13 11:01
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
JIJI PRESS
今、野球界はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)一色だ。日本中の野球熱が侍ジャパンに注がれ、3大会ぶりの世界一が期待されている。その一方、WBC終了後に幕を開けるプロ野球では、シーズンに向けた準備が静かに進んでいる。
世界一に向けた戦いの中でアクシデントはつきものなのかも知れない。西武・源田壮亮の右手小指骨折に続き、広島・栗林良吏が腰の張りで離脱すると報じられた。源田が侍ジャパンに残留する一方で、栗林はシーズンへの影響も不安視される。この先も続く侍ジャパンの戦いが、選手を派遣しているチームのシーズン開幕に影響を及ぼす可能性はゼロではないはずだ。
公式戦開幕前にピークを持って行ったコンディション面に加え、日の丸を背負う重圧の中で国際舞台を戦った精神面の反動。ある意味で燃え尽き症候群のようになり、短期間でシーズンへと切り替えるのは容易ではないだろう。準決勝に進出すれば、個人差はあれど時差ぼけの影響も無視できない。投手はWBC球からNPB公式球の感覚に再び戻す必要もある。
いまこそアピールのとき
それだけに、栗林を侍ジャパンに送り出した新井貴浩監督は、当初からWBC出場による影響があることを想定していた。
「コンディションの面でリスクマネジメントではないですが、(調整期間を与える可能性を含めた)計算はしています」
新井監督は春季キャンプ中から負傷の有無にかかわらず、タイミングよりも万全な状態でチームに合流することを優先させる考えを明らかにしていた。就任初年度の最重要課題がさらに難しくなる形だが、WBCによる影響をある程度覚悟していたのかもしれない。
その言葉は、言い換えればブルペンの投手に向けた檄でもある。
良くも悪くもレギュラー争いがほぼ無風に終わった野手陣に対し、中継ぎ陣はまだ開幕一軍枠の争いが続く。ここまで突き抜けた投手はいない。昨季セットアッパーを務めた矢崎拓也は左内腹斜筋の筋挫傷で離脱。昨季まで経験を積んだ森浦大輔やケムナ誠はここまでアピールに欠ける。指揮官が暫定守護神候補に挙げた来日2年目のニック・ターリーも、首脳陣を安心させる投球ができているとは言えない。