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「打たれたら叩かれる」ピンチで登板も“WBC防御率0.00”…秋吉亮が明かす“何を考えて投げていた?”「スタントンと対戦したかった(笑)」
posted2023/03/09 17:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Genki Taguchi
これまで4回開催されてきたWBC。メジャーリーガーが多く参加し「史上最高レベル」ともいわれる今大会の開幕試合を前に、過去の代表選手たちにインタビュー。第4回大会で防御率「0.00」の活躍を見せた秋吉亮(千葉県民球団)が舞台裏を明かした。(全2回の#1/#2へ)
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「3年だけなんでね」
秋吉亮はそう言って、自分の成績が印字された用紙に目線を落とす。
3年。それは、プロ1年目の2014年からの期間を指している。15年に自己最多の74試合で腕を振り、14年ぶりにセ・リーグを制したヤクルトのブルペンを支えた。翌16年にも70試合70イニングを投げ、防御率2.19と安定感を誇示した。
あくまで成績だけで言えば、ここが秋吉のキャリアにおけるピークだった。
WBCシーズンに肉離れ…「影響」の声に
17年は、右の肩甲骨付近の筋肉を肉離れしたことで43試合の登板に終わった。プロ野球のシーズン開幕前にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催されたこともあり、代表に選ばれた秋吉の怪我はその影響かと憶測も飛んだ。
秋吉の沈黙が訴える。答えはノーだと。
「……それはないと思います。というより、WBCを言い訳にしたくないですよね。前の3年間はフルで投げていたんで、その疲労が出ちゃったってだけで。その後の成績に関しては自分の責任だと思ってるんで」
そうなのだ。輝きを放ったこの3年間があればこそ、秋吉は「WBC日本代表」という誉を手にできたのである。
投手起用は「臨機応変」か「万全な状態」か
第4回WBCでの秋吉は、日本のブルペンにとって貴重な戦力だった。
守護神不在。
代表メンバーが出揃うと、そう囁かれた。ヤクルトでは2番手からセットアッパーと役割を固定せずに投げ、抑えも経験するなどフレキシブルにマウンドをこなせる秋吉は、候補のひとりに挙げられていた。
「やっぱり、打たれたら延長になったり、負けたりする9回とほかの回とでは、マウンドの雰囲気が違いますからね。だから、自分は慣れている中継ぎがよかったんですけど、権藤(博)さんから『1イニングしっかり抑えてくれ』って感じで言われていたんで、どの場面で投げてもいいように準備をしていました」
実はこの大会は、守護神どころか明確な継投すら固まっていないという内幕があった。