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甲子園の風BACK NUMBER
今永昇太の高校恩師が明かす、お調子者の左腕が“投げる哲学者”になるまで「1年時はノートを忘れていた」「一度だけ、私がサインを出すと…」
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/03/01 11:01
年齢ではダルビッシュを除くと投手陣最年長となる今永。若い投手たちから相談を受けることも多い「投げる哲学者」の原点に迫った
2回をノーヒット、「第2先発」の適性を示した
調整も順調に進んでいる。2月25日、ソフトバンクとの壮行試合では先発した佐々木朗希の後を受け、3回から登板。2回を投げて無安打無失点、2奪三振の好投で「第2先発」の適性を見事に示した。WBCでも存在感を発揮することは間違いないだろう。
井上さんは現在、監督を務める福岡県立香住丘高校の部員たちに、今永の話をすることがあるという。
「普通に教えるよりも、『今永は高校時代、こういう練習していたぞ』って言った方が、子供たちには効果があるかなと(笑)。プロ野球選手になってあれだけ活躍していますから。子供たちもそう言われた方が意欲的にはなるんじゃないかなと思います」
彼は何でも器用にやるので、中継ぎでも対応できる
野球少年なら誰もが憧れる侍ジャパンのユニフォームを身にまとい、WBCのマウンドに上がる日が近づいている。井上さんは、かつての教え子の活躍を信じて疑わない。
「彼は何でも器用にやるので、中継ぎでも対応できると思います。必要とされている場面があるということだけでも凄いこと。流れを作れるような投球をしてほしいですね」
2人の恩師が見守る左腕のマウンドは、日本中の期待を一身に受ける正念場ともなるだろう。
「逆境こそ覚醒の時」
「いつでもエースであれ」
恩師の言葉を胸に、今永は世界の強打者と対峙する。
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