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鈴木誠也(28歳)は現在106キロ、ユニフォームは“パチンパチン”に肉体改造していた! 侍ジャパン合流直前、現地で本人を直撃して聞いた話
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2023/02/25 11:01
アメリカでの調整を終え、まもなく侍ジャパンに合流するカブスの鈴木誠也
ポイントは「体重増と新打法」
昨季メジャーでプレーし、差し込まれることが多いと感じた経験から、鈴木は打撃フォームの時短の必要性を感じとった。始動を早め、左足の上げ幅を極めて小さくしたタイミングの取り方。大谷翔平が1年目に右足を上げるスタイルからすり足に近い形にしたのと意味は同じでメジャー投手の間合いの短い投球フォームから繰り出される160キロ近い速球に対応するための時短だ。
だが、動きを省く作業は、自分の間合いでボールを呼び込み、パワーを伝えることができなくなるリスクを伴う。動きを省きながら間合いとパワーを保つ。相反するテーマの中で自分のタイミングを見出すことが最重要テーマだ。
大谷翔平は日本時代から左から右への股関節の使い方が天才的に上手だったと聞く。間合いを省いても股関節の動きでパワーを伝えることができた。鈴木はかねがね「僕には翔平のような股関節の使い方はできない」と語ってきたが、足りない部分は体重増で補おうとしたということか。体を大きく動かさずして間合いをはかり、パワーを伝える新打法。鈴木自身、多くは語らなかったが、体重増と新打法の関連性を問うとこんな言葉を返した。
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「そうですね。(昨季は)いろいろ課題が出たシーズンではあったので。そこをしっかり考えてオフを過ごせた。これからいろいろ変わると思いますけどアジャストできるようにやっていきたい」
普段はあまり自分を褒めない誠也が…
体重増と打撃の新フォーム、ふたつの相性はここまでは抜群だ。鈴木はキャンプイン初日にライブBPを行い左右のメジャー投手から4打数2安打。結果以上に内容に見るものがあった。
左腕ブレンドン・リトルはこの時期早くも最速98マイル(約158キロ)の速球を投げ込んだ。その内、97マイル(約156キロ)の直球をセンターへ弾き返した。ボールの動きに定評のある先発右腕エイドリアン・サンプソンに対しては、86マイル(約138キロ)のチェンジアップにも体が残った。ライナー性のレフト前ヒット。剛球にも変化球にも新打法で間合いを保ち、普段はあまり自分を褒めない鈴木が手応えを口にした。
「しっかり見えているなという感じはした。キャンプ1日目にしてはすごくいい入り方ができたんじゃないかなと思います」