4-3-3の右FWに移ってからのプレーは圧巻だった。マッチアップしたエドゥアルド・カマビンガを左サイドに釘付けにし、相手が攻め上がった際には労を惜しまずゴールライン付近まで追走。さらには4度のゴールチャンスまで作り出した。

　悔やまれるのは、今回もまた手にしたチャンスを決めきれなかったことだ。本人が認める通り、ペナルティーエリア内におけるフィニッシュの精度は改善すべき課題として残った。

「自分はラ・レアルのことしか考えていない」

　ベルナベウでライバルチームの選手が活躍するたび、とりわけそれがレアル・マドリーの元所属選手である際はなおさらに、スペインメディアは当該選手のレアル・マドリー入りの可能性について論じたがる傾向がある。

　今回もその例に漏れないが、一部メディアが伝えているような買い戻しオプションは久保の契約には存在しない。レアル・マドリーが持っているのは、他クラブがレアル・ソシエダに久保の獲得オファーを提示した際、同額を払えば優先的に獲得できるという条件だけだ。

　いずれにせよ、そういった報道も噂話の域を出ず、実際は何の動きも存在しない。久保はスビエタの環境に溶け込み、サンセバスティアンでの生活を満喫している。

「自分はラ・レアルのことしか考えていない」

　レアル・マドリー復帰の可能性を問われるたび、久保は素っ気ない言葉を返す。それは彼にとって雑念をもたらすだけの、面白い話ではないからだ。

　久保は20ゴールへの関与という目標に向け、そして真のトッププレーヤーとしての評価を確立すべく、シーズン後半戦を戦い抜くことに集中している。

　そんな久保に対し、イマノルは最大限の賛辞を送っている。

「彼はもう4週間にわたり、ほとんど練習する暇がない状況でプレーし続けている。これ以上求めることなどできない。彼は非常に賢く、規律を守れる選手だ」

（#2につづく）

#2に続く

「クボはW杯で不運だったが…」ソシエダ番記者が斬る久保建英“成長への布石”とは「次は日本代表の絶対的存在となるはず」

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