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「武藤敬司はやっぱり油断ならねえ」蝶野正洋が明かす武藤とのデビュー戦から闘魂三銃士結成まで「グレート・ムタにやられたなって(笑)」
posted2023/02/21 11:10
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
蝶野正洋にとって武藤敬司は、いつになっても油断ならない存在だ。
ちょっとでも気を抜くと、のみ込まれてしまう。闘魂三銃士の盟友であってもずっとそのスタンスは変わらず、武藤を眺めるサングラスの奥に光る目は常に疑念に満ちる。
引退試合の発表会見当日、何かあるなと…
昨年9月、武藤の引退試合が2023年2月21日に東京ドームで開催されることが発表され、その会見に当日のゲスト解説という立場で蝶野が呼ばれた。
会場に到着すると武藤が所属するプロレスリング・ノアの関係者がたどたどしかったことでこれは何かあるなとピンときた。案の定、ドームの舞台に何とかして引っ張り上げようと駆け引きをしてくる武藤に対し、ガッデムなしでのらりくらりと逃げ切った。
「俺と武藤さんはライバル関係にあるから、興行を盛り上げる材料に使われるのは別に悪い気なんてしない。ただ、そこに応えるだけの体力が今の自分にはないから。一昨年の12月に(腰を)手術して、空港や駅の長い通路も車イスを使っていたし、武藤さんも(リングに上がらせるのは)無理だろうと分かっていたとは思うけど、真意は分からない」
蝶野はセミリタイア状態が続いている。腰痛に悩まされて歩くことにも影響が出て、側弯症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などと診断されて手術を実施。懸命にリハビリを続けて「左足の神経が確実には戻っていない」としながらも、現在は調子が良ければ軽く走れるまでに回復している。とはいえ当然リングで戦えるだけのコンディションではなく、ABEMAで生中継されるPPV放送のゲスト解説として武藤のラストファイトを見届けることになる。
蝶野20歳、武藤21歳――最初の出会い
2人は1984年4月、新日本プロレスに同日入門した仲だ。蝶野20歳、武藤21歳。最初の出会いを、蝶野はよく覚えている。同級生から「俺の知り合いのいとこが今度、新日本に入門するよ」と聞いていた。それが武藤だった。