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「事実上のメイン」那須川天心デビュー戦の注目度は世界戦以上か…「ボクシング界からの果たし状」だけではない“もうひとつのテーマ”
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2023/02/15 17:09
2月13日、刈り上げた髪を銀色に染めて記者会見に臨んだ那須川天心。4月9日のプロボクシング初戦には世界戦を超えるほどの熱視線が注がれている
「似て非なる競技」キックとボクシングの違いとは？
天心にとっては今回がプロボクサーとしてのデビュー戦となるが、第三者はいやがうえにもキックボクサー時代の42戦全勝（28KO）というフィルターを通して見ざるをえない。同じ立ち技の打撃系格闘技として、キックボクシングとボクシングはつながっているように見られているせいだろうか。
確かにキックボクシングには、その名の通りボクシングが含まれている。しかしキックボクシングとボクシングは似て非なる競技だ。ボクシング同様パンチによる攻撃があるからといって、同じ構えで闘うわけではない。
キックでは両手で三角形を作るようにして高く構え、体重は後ろ重心のアップライトで闘うケースが多い。対照的にボクシングの方はパンチを出しやすくするために、一方の手をアゴの前、もう一方の手を頬に当てながらクラウチングスタイルと呼ばれる前重心の構えをとるケースが大半だ。
なぜ基本的な構えが違うかといえば、蹴りやヒザによる攻撃があるかどうかに尽きる。アップライトスタイルに構えていると相手の蹴りをカットしやすい一方で、クラウチングスタイルだとスピーディーにパンチを打ちやすいというメリットがある。
13日の会見でも、天心はボクシングとキックの違いについて言及した。
「距離感とラウンド数が違う。僕はキックの距離に慣れているけど、そこはまだ模索中です」
那須川天心という“黒船”を歓迎するボクシング界
ある程度予想されていたことではあるが、会見での主役は天心だった。「だからアンチが騒ぐ」という声もあるが、一緒に出席した他の選手たちは“黒船”というべき天心の襲来を、大方のところ歓迎しているようにも見受けられた。
「（天心が出場するということで）注目度のある大会なので、そこに僕が出ることはすごくうれしい。しっかり勝って、皆さんにいい試合を見ていただけたらと思う」（寺地拳四朗）
「なんといっても那須川選手のデビュー戦ということで、注目度が高い。ここはたくさんのお客さんに自分の試合を見てもらうチャンス。このチャンスを絶対逃しません」（WBOアジア・パシフィックの王座防衛戦に臨む佐々木尽）
