38歳で通算得点記録の歴代首位に立ったレブロンここから、どれだけ記録を伸ばしていくのだろうか。レブロン自身は「マインドを今のままキープできれば、身体はまだあと数年はこのレベルで続けることができる」と言う。

　40歳が近づいても、まだ続けることのモチベーションのひとつは、今、高校生の息子たちと、チームメイト、あるいは対戦相手として共にNBAのコートに立つこと。去年夏にスポーツイラストレイテッド誌のインタビューで最初に公言したときは、まだ夢物語のように思えたことだが、最近になって現実的な話になってきた。今、高校の最上級生の長男、ブロニー・ジェームズは、今季に入って、将来のNBA候補として評価を上げているのだ。早ければ2024年にNBA入りする可能性もある。

　ブロニーと次男のブライス・ジェームズは、父が記録達成した後、レイカーズのロッカールームに揃ってやってきて、父が試合後のケアのために足を氷水につけている間、横で話し相手になっていた。記録達成の瞬間を自分のスマートフォンで動画撮影したブロニーが、それを父に見せるとレブロンは2人に聞いた。

「君たちのどっちが私の記録を破ってくれるんだい？」

家族と記念撮影するレブロン・ジェームズ。左から、NBA入りを期待される長男ブロニー、次男ブライス　©︎Getty Images

　レブロンにとってのもうひとつのモチベーションは、NBA優勝だ。去年末、38歳の誕生日を前に、レブロンはこう言っていた。

「自分は勝者だし、勝ちたい、優勝を競い、優勝するチャンスを自分に与えたい。それが、常に自分の情熱だ。オハイオ州アクロン出身の18歳の子供としてNBAに入って以来、ずっとそれが自分の情熱となっている。そこに行くためには段階を踏んでいく必要があるのはわかっている。ただ、バスケットボールをやるためだけにこのレベルでプレーするのは自分のDNAにはないことだ」

　この時点で14勝21敗と成績低迷していたレイカーズは、アンソニー・デイビスが故障から復帰し、1月23日には八村塁をワシントン・ウィザーズからのトレードで獲得して弱点のサイズを補うなど、少しずつ戦えるチームになり、成績を向上させている。それでも、シーズンの約3分の2が終わった現時点で未だ勝率5割を切っている。記録達成の試合でも、順位争いですぐ上にいるサンダーに対して勝利をあげることができなかった。

　果たして、レイカーズは今シーズン、プレイオフに出られるのだろうか。そして、レブロンの契約が切れる来シーズンまでに、どれだけ優勝に近づけるのだろうか。それができない場合、レブロンはレイカーズ以外にそのモチベーションを保てる場所を見つけられるのだろうか。そのことも、今後レブロンが通算得点記録をどこまで伸ばせるかの鍵となってくる。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。