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“ブンデス2位のスタメン”を捨て、なぜ残留争い15位チームに? 原口元気31歳が移籍直前に語っていた“真意”「見栄えはいいかもしれない。でも…」
posted2023/02/04 17:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
ドイツ冬の移籍市場が閉まる直前に、元日本代表MF原口元気のウニオン・ベルリンからシュツットガルトへの移籍が発表された。
ウルスからは本当にいろいろ学んだ。楽しかったな。
シュツットガルトには日本代表MF遠藤航と伊藤洋輝が在籍しているとはいえ、ウニオンは現在ブンデスリーガ2位。ヨーロッパリーグ(EL)でも決勝トーナメント進出を果たしている。来季もEL、それどころか欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得の可能性も十分あり、しかも再開後から2試合連続でスタメンで出ていたクラブから、残留争いをしているクラブへの移籍なので、ドイツ国内でも驚きをもって伝えられた。果たして移籍を決意したその背景にはどんな思いがあったのだろう。
カタールW杯による中断からの再開初戦となった1月21日のウニオン-ホッフェンハイム戦後のミックスゾーンで、原口は胸に去来する様々な思いを話してくれていた。
「ウニオンは見ての通り強い。チームとして非常にリスペクトできる。この1年半で学んだことは、すごくある。ウルス(・フィッシャー監督)からは本当にいろいろ学んだ。楽しかったなっていうのはあります」
ウニオンへの愛はとても強い。監督に対する恩もとても大きい。それは間違いない。ホッフェンハイム戦でスタメン出場した原口は63分にベンチへと下がったが、交代後もチームの勝利を願って、ベンチから熱い思いで試合を見守っていた。逆転ゴール時には同じく途中交代したヤニク・ハベラーと抱き合って喜び、そして終了間際にジェイミー・レーベリングのダメ押し弾が決まると、ベンチから誰よりも早く飛び出し、祝福へと駆け出した。はじける笑顔のまぶしさは、原口が心の底からこのチームのためにプレーしている何よりの証だ。
もうちょいくれないと困るなというのは正直あって
ただ、原口には同時に異なる思いもあった。