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「うつです。治療しましょう」元世界60位、テニス・伊藤竜馬34歳が初めて明かす”うつ病と診断されるまで”「トレーニングしないと不安が…」 

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内田暁

内田暁Akatsuki Uchida

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photograph byHiromasa Mano

posted2023/01/29 17:01

「うつです。治療しましょう」元世界60位、テニス・伊藤竜馬34歳が初めて明かす”うつ病と診断されるまで”「トレーニングしないと不安が…」<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

今回、ある決意をもって、自身の現状と身に起きていたことを語った伊藤竜馬。2019年、20年と全豪の本戦に出場してきた伊藤から語られたのは…

伊藤が悔やんだ「手術」という決断

 2011年末――。当時の伊藤は122位ながら、「来年のロンドンオリンピックに出場する」と周囲に宣言していた。実際に半年後には、世界の68位に到達。悲願のオリンピック出場を果たすと、同年10月には世界ランキング60位に達した。これが現時点での、伊藤のキャリア最高位。すべての四大大会本戦にも出場し、錦織圭や添田豪らと共に、日本男子黄金期を形成した。

 その4年後のリオデジャネイロオリンピックの時も、伊藤は出場を狙える位置につける。ただ当時の彼は、慢性的な肘の痛みに悩まされていた。悩んだ末に、目先のオリンピックよりも長いキャリアを選んだ彼は、肘にメスを入れる。

 後にその決断を、悔やんだこともあったという。家族には、「やっぱりオリンピックを目指すべきだったかな」とこぼしもした。豪快なプレーと明るいキャラクターで知られる伊藤だが、「自分一人で決断が下せず、逃した選択肢を悔やむ」性向があるという。東京オリンピックを控えた2019年末の心身の変調は、それら歩んできた足跡と、生来の性格に拠るところが大きかったかもしれない。

自分はなぜテニスをやっているのか?

 年が明け2020年シーズンが始まっても、心を覆う靄は晴れない。試合をしながらも、「気持ちが入っているのかいないのか、よくわからない」状態が続いた。

 それでもまだ、1月の全豪オープンの時は良かった。初戦を突破し、2回戦で世界2位のノバク・ジョコビッチと戦う高揚感が、自ずと気持ちを上げてくれたからだ。

 だが全豪オープンが終わった頃から、再び気持ちがふさぎだす。

「自分はなぜテニスをやっているのか? どこを目指せばいいんだろう?」

 そんな迷いが、頭の大半を占めはじめた。

 妻の美佳さんが、夫の変調を懸念し始めたのは、2020年の2月頃だという。5週連続の海外遠征に出た夫が、予定を切り上げて帰国。理由は、「自分で気持ちを盛り上げたいが、ぜんぜん上がらない」からだという。

 そこで、3月上旬に米国カリフォルニア州で開催される大会には、幼い息子も連れて3人で向かった。気候も良い地で家族と過ごすことで、少しでもリラックスできればとの願いからだ。

【次ページ】 コロナ禍の中断、妻の本音「これで休める」

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