Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER
[主力MFの提言]守田英正「お祭りで終わらせないために」
posted2023/01/27 09:03
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
AFLO
日を追うごとに結束を強めチームはひとつになった。カタールから帰国すると彼らは大喝采で迎えられた。だが、そのお祭りムードに危機感を募らせる男がいる。今こそ考えるべき、W杯でできなかったこととは――。
1時間以上におよんだインタビューの最後に、守田英正は「もう一つだけいいですか?」と画面越しに身を乗り出した。
「もっと日本は議論をした方がいいし、意見を言うこと自体が悪いという風潮をなくした方がいい。僕はW杯に出たのをきっかけに『日本サッカーを強くしたい』とすごく思うようになった。3試合に先発させてもらったからこそ、強豪国に勝つという新しい歴史をつくれたからこそ提言をしたいんです」
守田にとってカタールW杯は「感謝」の大会だった。
育ててくれた両親、支えてくれた兄姉、携わってくれた指導者たち、そして森保一監督とメディカルスタッフへの感謝である。
守田が古傷の左ふくらはぎを痛めたのは、カタール入りの2日前、11月13日のスポルティング対ファマリカンでのことだ。終了間際に違和感を覚えたのである。
「試合後にふくらはぎが硬くなっているのを感じてやばいなと思いました。W杯の試合で負傷交代して大会から離脱することになったら、チームに大きな迷惑をかけてしまう。それだけは絶対に嫌だった。スタッフの方に『万全の選手を優先して僕が外れるなら受け入れます』と覚悟を伝えました」
そんなとき支えてくれたのが、日本代表の理学療法士、中條智志だった。中條は川崎フロンターレで2019年から3年間同職を務め、守田とは旧知の仲だ。