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「公立校で無名」伊東純也が見出された一撃、「くそガキ」だった鎌田大地や選手権ヒーロー柴崎岳の強い芯とは〈日本代表の高校時代〉
posted2023/01/09 17:00
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
<名言1>
世界基準であそこまで突き抜けるためには、聞き分けのいい“お利口さん”なだけではダメなのかもな、と……。
(福重良一/NumberWeb 2022年11月22日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/855437
◇解説◇
近年、高校サッカー経由で日本代表に上り詰めた選手には「Jクラブのジュニアユースから高校の部活に回った」パターンも多い。中村俊輔(横浜Mジュニアユース→桐光学園)、本田圭佑(G大阪ジュニアユース→星稜)などがその代表格だが、カタールW杯でプレーメーカーの役割を司った鎌田大地もその1人だ。
鎌田はガンバ大阪ジュニアユースに所属していたものの、ユースへの昇格がかなわず。父との大学時代の縁があった福重良一監督が指導する京都の東山高校へと進んだ。そんな彼はひょうひょうとした語り口ながら自分の考えをストレートに口にするタイプとして知られる。では福重監督から見て、高校生の鎌田はどのように映ったのだろうか。
「もちろん大地も素直さや真面目さは持ち合わせているんですけど、それに加えてひとクセ、ふたクセあった。よくも悪くも頑固だし、ブレない」
「他の選手に比べて手はかかりましたけどね(笑)」
鎌田自身、10代の頃について「ほんまに『くそガキ』だったから」とミックスゾーンで語っていたことがある。それを証明するかのような恩師の言葉だが……プレー面におけるスケールの大きさは感じていたようだ。
「僕ら指導者の枠には収まらない、規格外の選手の個性を認めること。それを彼から学ばせてもらっています。まあ、他の選手に比べて手はかかりましたけどね(笑)」
鎌田は東山3年時にキャプテンを務め、Jユース、高校が年間通して戦う高円宮杯プレミアリーグWESTでMF登録ながら10得点を記録するなど、今に通じるゴールに向かうセンスの高さを見せた。選手権こそ出場ならなかったが、その能力にサガン鳥栖が獲得に手を挙げ、加入が決定。そして1年目からJ1リーグ戦21試合3得点をマークするなど、プロの舞台で飛躍。そして現在ではEL王者フランクフルトの主力となり、3000万ユーロ(約42億円)の市場価値をつけられるまでに至った。
第101回全国高校サッカー選手権、東山高は同校史上初となる決勝に進出した。鎌田も3回戦・高川学園戦の観戦に訪れていたという。鎌田の母校愛を感じさせるとともに、W杯での“鎌田先輩”の奮闘は、現在の高校生にも刺激を与えたのは間違いなさそうだ。