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箱根駅伝の古豪・東農大から“入部拒否”も100km世界王者に…食品スーパー勤務、岡山春紀の逆転人生「陸上部には負けたくない、見返してやる」 

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酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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photograph byJAAF

posted2023/01/09 11:02

箱根駅伝の古豪・東農大から“入部拒否”も100km世界王者に…食品スーパー勤務、岡山春紀の逆転人生「陸上部には負けたくない、見返してやる」<Number Web> photograph by JAAF

昨年8月、100kmの世界王者となった岡山春紀。もともと東京農業大学で箱根駅伝を目指そうとしたが、タイムの“足切り”をされ…

 最初は「青果部」に配属され、朝霞店でスーパーの店員として働いた。7~16時が基本の労働時間(8時間勤務)。チーム練習の時間と合わず、仕事前にひとりで練習することが多かったという。学生時代よりも競技に費やせる時間が少なくなり、「限界」を感じるも、2020年2月の愛媛マラソンで2時間14分53秒のチーム新記録(当時)を樹立。強化選手となり、練習時間を確保できるようになった。

 現在は「とくしまる事業」という部署に所属。軽トラックによる移動スーパー「とくし丸」の営業を6時間こなしている。そして昨年5月には以前から挑戦したかったというウルトラマラソンに初出場。眠っていた才能が爆発することになる。

岡山君、凄い。素質あるね(川内優輝)

 江戸川河川敷を東京・柴又公園から茨城・五霞町まで往復100kmを走る「第10回記念大会柴又100K」を6時間16分47秒の大会新で優勝。同大会は第31回IAU100km世界選手権の選考会になっており、岡山は初のウルトラレースで“日本代表”をゲットしたのだ。

「憧れの川内優輝さんと会ったときに、『岡山君、凄い。素質あるね』と言われて、自分は100kmに向いているんだと思いましたね」

 100km世界選手権に向けて、7月末には母校・東農大陸上部の長野・菅平合宿に自費で参加した。東農大の選手が30km走を実施したときには、その前にひとりで22kmを走り、最長52kmを踏んでいる。ただし、普段の練習は長くても30kmほどしか走らないという。

「100km用の練習はあまり意識してやっていないんです。フルマラソンに向けての練習に近いですね。あまり距離を踏んでも疲れるだけですから」

ネックレスが外れ、破片が右のシューズに入り…

 高校・大学陸上部時代のトラウマがあるのか、岡山は練習量を増やすことはしなかった。しかし、100km世界選手権に向けては、1カ月前から硬水を飲むようにするなど、欧州のレースを想定したという。

【次ページ】 脚を上げないようにしてギリギリを攻めて走りました

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