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箱根駅伝の古豪・東農大から“入部拒否”も100km世界王者に…食品スーパー勤務、岡山春紀の逆転人生「陸上部には負けたくない、見返してやる」
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byJAAF
posted2023/01/09 11:02
昨年8月、100kmの世界王者となった岡山春紀。もともと東京農業大学で箱根駅伝を目指そうとしたが、タイムの“足切り”をされ…
100kmレースは岡山の競技人生と非常に似ている。少し出遅れても、後半で十分に挽回できる。そして本場・ドイツで飲んだビールは最高だったに違いない。
100km世界選手権に優勝賞金はなく、大半の遠征費は自費で負担しないといけない。今回は柴又100Kの優勝で「社長賞」というかたちで遠征費は会社が負担してくれたという。マイナー競技の悲哀を感じるが、「世界一」の輝きがくすむことはない。
ドイツから帰国後は、母校・東農大の学長を表敬訪問。陸上部の入部を断られた男が、劇的な“出世”を果たした。
世界記録を樹立して、川内さんを迎え撃ちたい
もうひとつ大きな変化があった。岡山の挑戦をサポートしてきた彼女(侑子さん)と昨年12月12日に結婚した。世界チャンピオンになったらプロポーズすると決めていたという。
「妻が100km初挑戦を大きく後押ししてくれました。感謝しかありません。偶然ですが、イチ・ニー、イチ・ニーとランナーらしい入籍日になりました。一歩ずつ二人三脚で前に進んでいきたいと思います」
【ご報告】
— オカヤマン(岡山春紀) (@1hrkokym1) December 12, 2022
2022年12月12日
本日入籍しました。
100キロマラソン世界記録に向けて
日々精進して参ります。 pic.twitter.com/mWUzWOijlJ
新たな人生が始まった岡山に2023年の目標を尋ねると、「100km世界記録(6時間09分14秒)の更新をすることです。あと2分56秒頑張ります! また50km世界選手権は内定しているので、もちろん世界一を狙い、ウルトラマラソンといったら岡山と言われるようになりたいと思っています」と力強かった。
「今後はウルトラマラソンの魅力を伝えて、競技人口を増やしていきたい。川内優輝さんも近い将来100kmをやると思うので、その前に世界記録を樹立して、迎え撃ちたいですね(笑)。とにかくあきらめないことが大事だと僕は実感しています。もうやめようかなと思ったときに結果が出たりしましたから。陸上部に入れなくて挫折しました。それでも好きで継続していけば自分の想像を超える結果や道が開けてくるんです」
あきらめた時点で“夢”は終わってしまう。しかし、挑戦し続けている限り、夢には少しずつ近づいていける。岡山の挑戦を見て、そう思った。
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