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中村俊輔も注目した“198cmの二刀流高校生”「課題はあるが…」水沼貴史が期待する理由とは? 選手権3ゴール&「写真撮ってください」 

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水沼貴史

水沼貴史Takashi Mizunuma

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posted2023/01/03 11:02

中村俊輔も注目した“198cmの二刀流高校生”「課題はあるが…」水沼貴史が期待する理由とは? 選手権3ゴール&「写真撮ってください」<Number Web> photograph by AFLO SPORT

198cmの高い打点から奪った3ゴールやFW&DFの二刀流で話題を集めた日大藤沢・森重陽介。選手権8強入りは逃したが、大きなインパクトを残した

 FWとしての長所は前線でしっかりキープできるところ。あとはヴェルディの下部組織出身とあってキックの技術が高いのでシュートが上手い。今大会の3ゴールは全てヘディングでしたが、シュートパターンが多彩なのも今後の武器になるでしょう。DFでプレーしても最終ラインからロングフィードを蹴れるのも強みになります。

 ただ、ポストプレーはもっともっと磨かないといけない。守備でも神村学園戦で最後の足を出して防ぐシーンはありましたが、アジリティの高い選手への1対1の対応には課題も見えた。プロの世界に行けば全てのレベルが上がるわけですから、総合的なクオリティーを上げる必要があります。でも、それは「まだ余白がある」とも言えます。

 加えて、個人的に森重のメンタリティーに注目しています。

「高さが武器」「写真撮ってください!」

 彼と初めて話したのは8月に行われた和倉ユースサッカー大会(石川県)。青森山田を撃破して優勝した後に話をする時間がありました。

 これまでの経験から言うと、“背の高くて上手い”選手は貴重な存在なのですが、かえって「足元」にこだわりすぎる選手も多かった。上手いのだから「足元の技術で勝負したい」と考える気持ちは理解できます。ただ、森重は“高さ”を自分の“ストロング”だとしっかり自覚できている。試合後に「制空権を握ってきました」と笑顔で言葉にするんです。客観的な視点で長所を理解しているかどうかは、今後の成長にとても大切なことでは、と思うんですよね。

 あと、注目される存在でありながら無邪気に「写真撮ってください!」と言えちゃう性格もプラスに働きそうです(笑)。選手権1回戦の会場で再会した時も「また(3回戦も)来られるんですか?」「頑張ります!」と……応援したくなるキャラクターをしていますね。3回戦、負けた後も神村学園のバスのところに行って千羽鶴を渡す姿を見ました。次に向かって切り替えているんだなと感じました。

【次ページ】 FWとDF、どちらで勝負すべき?

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