「試合の中で、流れって絶対にあるんですよ。あっち行ってるなとか、今こっちに来てるなとか。でもあのときのオリックスは、流れが来っぱなしだった。リードされてもファンの大声援があるから流れが相手に行かない。そのうち逆転してしまう。願いの力って、すごいんですよ。苦手にしていた西武に6月から15連勝ですからね。普通にはありえないことが起こっていました」

田口壮 ©Kazuaki Nishiyama

なぜ「勝つチーム」になれたのか？

　前年にオリックスを引退していたパンチ佐藤が、こんな話をしていたことがある。

「僕が入った頃のオリックスはすごい個性派集団だったので、みんながバラバラだった。優勝しようなんて声、聞いたことがないですもん。でもあの震災で、チームの全員が同じ方向を向いたように見えました」

　当時のオリックスは阪急時代から数えて10年間も優勝から遠ざかっていた。

　後にアメリカで3度ワールドシリーズを経験し、2度ワールドチャンピオンに輝いた田口も、パンチ佐藤の意見に同調する。

「アメリカでも優勝するチームは決まっていて、最後は全員が同じ方向を向いているチームが勝つ。ファンも巻き込んで、一体感のあるチームはやっぱり強いんです」

〈#2につづく〉

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