濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“傾奇者”にタブーなし…スターダムで活躍したウナギ・サヤカは、なぜ“女子プロレス界に喧嘩を売りまくる”のか?「今ある枠なんてクソみたい」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/12/27 17:03
今年10月からさまざまな団体のリングに上がり話題を集めるウナギ・サヤカ
「私はトラウマになりたい」
「でも“ギャン期”に入って動き出したら、その不安はなくなりました。なんだか分からないけど自信しかないんです。自分には未来しかないし、絶頂期はこの先にあると確信してますね。言ったらできるだろうと思ったことがどんどん実現してるので」
各団体での闘いが“一周”したら飽きられるという予想もできるが、その一周目が終わる気配がないのだとウナギ。次から次へと闘いたい選手が出てくる。マーベラス後楽園では長与千種が久々に試合をした。それを見て、同じリングに上がった堀田祐美子とも「やりたい」と思った。ディアナの8人タッグ戦で当たった井上京子、井上貴子、神取忍ともシングルがしたい。
「(レジェンドと呼ばれる選手は)立ってるだけで“正解”じゃないですか。エグいですよ。それくらいの存在感がある。プロレスをやっている以上、ジャンルを作ってきた歴史上の人物に触れたい。胸を借りて終わりでも嫌です。私はあの人たちのトラウマになりたい」
ウナギ・サヤカには“タブー”など何もない
タブーなど何もない。古巣である東京女子プロレスの選手と対戦する可能性も否定はしない。特に闘いたいのはエースの山下実優だ。東京女子時代の2019年、ウナギは山下とのシングルでアクシデントにより負傷。長期欠場を経験している。そこから選手としての意識が変わり、欲も強くなってスターダム移籍につながった。
「山下実優との試合は、途中で時間が止まったままなので。すっごいやりたいですね」
相手は、かつて自ら離脱した古巣の看板選手だ。常識的に考えると、対戦は簡単なことではない。
「どうせ無理だろって思われるんでしょうけど、それを打ち破りたい。そのための“ギャン期”じゃないですか」
この選手とやりたい、こういうこともしたい。あの選手にはどんな言葉でアピールするのが効果的だろう。次はこんなグッズを作ろう。次々とアイディアが溢れてきて、ときどき「頭が爆発しそうになる」という。でもそれが楽しくて仕方ない。
「みんながワクワクしてくれれば、それで私も“もっとやっちゃうぞ”ってなるんです。その結果がどうなるか、自分でも分からない。だから余計に楽しい」
「来年、もっと驚くようなことが起きるかも」
しかも“ギャン期”はまだ“第一次”とのこと。先はまだ長いし野望も大きい。
「プロレスラーを“なりたい職業第1位”にしたい。男女とも」
お前には無理だ、頑張るだけ無駄だと嗤う人間もいるだろうが、ウナギの心には届かない。それこそ無駄というものだ。
「来年、もっと驚くようなことが起きるかも」
ウナギは言った。しかし彼女のやってきたことはスターダムでベルトを巻くことにしろ、橋本千紘と闘うことにしろ、すべてが“少し前まで考えられなかった”ことばかりだ。来年何が起きてもおかしくないし、せめて驚く準備だけはしておこう。
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