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「あんな弱い奴に何ができる、とバカにされ…」デビューから15年、スターダム王者・朱里が女子プロレス大賞に輝くまで《特別グラビア》
posted2022/12/27 17:04
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「休む時間はありませんでした」
念願の赤いベルトを巻いてから1年、朱里はひたすら戦ってきた。
2022年を「朱世界」に染めると宣言した通り、朱里は赤いベルトに象徴される団体最高峰のワールド・オブ・スターダム王座を10回防衛した。そして、12月29日、両国国技館で今年2度目となるジュリアの挑戦を受ける。朱里には自負がある。
「対戦相手の良さを出したうえで、勝利する。自分自身の限界との闘いでもありました。そして見た人の心に響く試合をしたい。それを一戦一戦、見せられたと思っています」
MIRAI、ジュリア、岩谷麻優、ひめか、世羅りさ、渡辺桃、中野たむ、高橋奈七永、舞華、林下詩美と、強烈な挑戦者たちとの激しい戦いが続いた。
「魅力的な選手が多い中で10回防衛することができたのは、素直に嬉しいです」
そう口にして、朱里は少しだけホッとしたように微笑んだ。
“因縁”の林下詩美を破り、防衛回数は二桁に
印象的だった直近の防衛戦について訊いてみた。11月3日には、広島で舞華と激闘を繰り広げた。
「舞華はスターダムに来る前から試合をしてきた相手。一緒の時期に同じユニット(DDM)で登場して、お互いスターダム所属になった。赤いベルトをかけて試合をする日がくるなんて当時は思ってもなかったので、本当に嬉しかったです。でも、私はまだまだ負けるわけにはいかない。この防衛戦で舞華のパワー、凄さをあらためて実感しました」
そして11月19日、大阪で林下詩美を破り、10度目の防衛に成功した。
「詩美とは去年43分(2021年6月12日、両者KO)もの試合をして、それでスターダムが海外でも注目されたと聞きました。あれは詩美とだからできた試合。今でも脳裏に焼き付いています。
ただ今年の『5★STAR GP』で、私は初めて詩美に負けました。彼女が挑戦者として出てきてくれたのは、リベンジを果たすチャンス。しかも詩美は去年、赤いベルトを9度防衛していて、私もそのとき同じ防衛回数でした。そこで詩美に勝って10度目の防衛ができたことが嬉しかったし、ホッとしましたね」
痛さ、強さ、激しさ……。林下と大阪で作り上げた試合は、またしても海外まで響く試合となった。