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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「女子校みたいで、“青春だなぁ”って」KAIRIにとって現在のスターダムとは? 初代IWGP女子チャンピオンが語る“最後の冒険”の意味
posted2022/12/23 17:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
新日本プロレス
11月に初代IWGP女子チャンピオンとなったKAIRIは、アメリカ・WWEでの活躍を経て今年3月から古巣スターダムに参戦している。帰国してからは湘南にフィットネスジムをオープン。忙しい日々を送っており、プロレスの試合は不定期かつ数も少ない。ただ2023年からは、もう少し試合ペースを上げていきたいという。そのほうがコンディションを維持しやすいし、リング上での発見や反省点を次に活かしやすいからだ。
KAIRIにとっての2022年は復帰の年であり、同時に試行錯誤の年だった。夏には新型コロナウイルスに感染、タイトルマッチを欠場している。
「練習内容も食事の方法もたくさん試してきましたが、最初は苦戦しましたね。追い込みすぎていました。いま考えるとオーバートレーニングだと分かるんですけど。糖質制限も厳しくしすぎて、免疫力が下がってコロナに感染してしまったんだと反省しました」
KAIRIが試したのはカーボアップという調整法だ。糖質(炭水化物)を制限した状態から摂取量を増やし、エネルギー源を急速に取り込んでパフォーマンスを高める。筋肉が一時的に大きくなるメリットもある。ただ、KAIRIはそれを極端にやりすぎた。
「やっぱり炭水化物を摂らないと体力が落ちますね。筋トレ、ボディメイク中心の練習はプロレスに合ってなかった。今は3食しっかり自炊して食べる、栄養素は食べ物から摂る形にしてます」
他のレスラーは毎週のように試合があるから、カーボアップのような調整は難しい。不定期参戦のKAIRIだからトライできたし、それが合わないことも分かった。レスラーは試合をしながら調子を上げていく面もある。
「今回はやっと、今の自分に合うやり方が見つかったと思います」
岩谷麻優に勝利し、初代IWGP女子チャンピオンに
11月19日には大阪で上谷沙弥が持つ“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム王座に挑戦し、時間切れ引き分け。翌20日は有明アリーナでの新日本プロレス×スターダム合同興行のメイン。岩谷麻優との5年半ぶりの対決を制し、初代IWGP女子チャンピオンになった。2試合連続のタイトル戦、トータルで1時間近く闘い抜いている。
「リングに上がる時間が短いと、不安も多くなってしまうんです」とKAIRI。試合数が限定されているだけでなく、スターダムの道場で練習できる時間も限られている。基本的には、所属選手たちが地方で試合をしている時だ。