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セッターも海外挑戦すべき? バレー界の“仮説”を覆す関田誠大のスゴい進化とは…“大型補強”ジェイテクトで光った多彩なトスワーク
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2022/12/24 11:00
(左から)柳田将洋、西田有志らと共に大型補強の目玉としてジェイテクトに加入したセッター関田誠大。Vリーグでの巻き返しを予感させる天皇杯制覇だった
今シーズンのジェイテクトは、かつてない大型補強を行った。昨季はイタリア・セリエAのビーボ・ヴァレンティアでプレーした日本代表オポジットの西田有志が2季ぶりに復帰し、昨季サントリーサンバーズでリーグ連覇に貢献した前日本代表主将の柳田と、昨季ポーランドのクプルム・ルビンで腕を磨いた代表セッターの関田が加入。新外国人選手のティネ・ウルナウトもスロベニア代表主将を務める実力者だ。リーグ開幕前、他チームは、昨シーズン7位だったジェイテクトを優勝候補に挙げ、警戒した。
だがいざ10月にリーグが開幕すると、思うように勝ち星を伸ばせない。年内の14試合は6勝8敗と負け越し、10チーム中6位。関田、西田、ミドルブロッカーの村山豪が代表活動のためチームへの合流が遅かったことや、選手の体調不良や怪我などもあり、なかなかチームが噛み合わなかった。
「いろいろあります。大変ですよ。簡単じゃない」と関田は呟いた。
セッター関田が感じていた“重圧”
「外からは、『簡単に勝てるだろ』というふうに見られがちですけど、実際はそうではなくて。僕も、すごいアタッカーがいるから、それなりにサイドアウトは自由にできるだろうと思っていたんですけど、全然うまくいかない。それで余計に力が入って、流れがつかめない。そういう状況が続いていました。
僕は何回も移籍を経験して、毎回1年目は大変さがあるんですけど、それに加えて今回は重圧とか、周りから高められているし、いろいろあります。やっぱり相手のマークもきつい。僕の分析もされているし、サーブですごくプレッシャーをかけてくるので、Aパスからじゃない攻撃がかなり増えて、楽には決めさせてくれない。その中で、勝たないといけないと思うと、どうしても空回りしたり。バレーは歯車が噛み合わないと難しいんで」
野球で例えれば巨人のように、巨大戦力を有するチームを叩こうと、相手が目の色を変えて向かってくるのを感じているという。
「ミーティングでも、受けずに攻めろという話になるんですけど、難しいんですよね。まだチームができてまもないから、ガッと来られると。言い訳はしたくないんですけど……」
だが天皇杯では、試合を重ねるにつれチームが噛み合っていった。Vリーグで首位を走り、昨年の天皇杯王者でもあるウルフドッグス名古屋を準々決勝で下し、準決勝では崖っぷちから、チームが一体となり逆転勝利を収めた。
「なんか一皮むけたんじゃないですか。今日、何かが起きましたね」
関田の表情は充実感にあふれていた。