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セッターも海外挑戦すべき? バレー界の“仮説”を覆す関田誠大のスゴい進化とは…“大型補強”ジェイテクトで光った多彩なトスワーク
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2022/12/24 11:00
(左から)柳田将洋、西田有志らと共に大型補強の目玉としてジェイテクトに加入したセッター関田誠大。Vリーグでの巻き返しを予感させる天皇杯制覇だった
海外移籍を模索していた際、関田の耳にもセッターが海外に出ることへの懐疑的な声は聞こえてきたという。
「行く前にいろんな人に『セッターは別に海外に行っても……』みたいに言われましたね。それはあまり信じないほうがいいなと。自分が行きたいから行く。バレー人生はそんなに長くないんで。それでダメだったらダメだし、よかったらよかっただし。生活とかも含めて、経験は絶対に活きると思っているので」
海外経験をプラスの力として取り込み、日本代表ではフィリップ・ブラン監督の絶対的な信頼を得て、2022年の日本の躍進を正セッターとして支えた。だが関田には“安泰”という感覚は微塵もない。大宅はこう話していた。
「今年は自分から関田さんとコミュニケーションを取るようになって、いろいろ聞いたんですけど、あんまり話してくれるタイプじゃないんですよね。テキトーに『お前のほうがうまいよ』とか言われてかわされる(苦笑)」
そのことを関田に聞くと、「いやいやいや」とかぶりを振った。
「教える立場じゃないんですよ、まだ。やっぱりライバルとして見ているし。僕自身、自分が絶対代表とか、そういうのではないから。僕もまだ、もっとこうしたいというのがあるし、まだまだ頑張らないといけないので」とバリバリ戦闘モードだ。
Vリーグでの巻き返しにも期待
今季に向けても海外からいくつもオファーがあったが、悩んだ末にジェイテクトを選んだ。最大の決め手は「スタメンで日本一」。7月の入団会見でこう語っていた。
「僕は以前パナソニックと堺でプレーしていましたが、自分がスタメンで(トスを)上げて日本一になったことがまだ一度もない。だから『スタメンで日本一を獲る』というのを達成したい気持ちがあったので、決断しました」
それを有言実行。今シーズン最初のタイトルである天皇杯を、スタメンでスパイカー陣の力を引き出し、獲得した。年明けから再開されるVリーグでの巻き返しも、司令塔の腕の見せどころである。
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