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プロ野球PRESSBACK NUMBER
元西武・辻発彦が明かす“一軍監督の苦悩”とは? あの中村剛也に命じた二軍行き、“走らない”森友哉への叱咤…「意地になっちゃう時もある」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2022/12/22 11:02
埼玉西武ライオンズの監督を今季限りで退任した辻発彦氏にインタビュー(後編)
「バックスクリーンの映像を見ていたら、選手は本当によう頑張ってくれたな、という思いが込み上げてきたんです。まだ見ぬ世界を若い選手に経験させることがさらにライオンズを強くさせるんじゃないかと思っていたので。そこに連れて行けなかった悔しさが溢れてしまいました」
その18年の2戦目の勝利以降、ソフトバンクにはCSで9連敗。短期決戦で勝ち抜けず、日本一の悲願だけは叶わなかった。
「つくづく短期決戦は投手力、投手陣の厚さだと思いました。ファーストステージを勝ち上がってきたチームは1、2番手のピッチャーは使えない。それでもソフトバンクは勝ったわけですから。(退任後)日本シリーズの解説で外からオリックスの戦い方を見た時にも、先発はもちろん後ろのピッチャーがあれだけ揃っていると強いな、と実感しました。1つのミスにつけ込み、1本のホームラン、1勝を境に劣勢だった流れがガラリと変わる。野球はやっぱり怖い。こういうステージでの経験が自信になって、選手をさらに成長させていく。だからこそ、そこまで行かせてあげたかったんですけどね……」
「選手との関係は“お友達”でいい」
退任後は、野球解説者としての仕事をする傍ら、ツイッターアカウントを開設したり、YouTubeのライブ配信に出演するなど新しい分野にも挑戦中。刺激になっているのは長男・ヤスシさんの存在だ。
「息子には助けられてます。あいつのおかげです。ツイッターやらなきゃダメだよ、なんて言われてね。最初は一つひとつ息子に確認しながらでしたけど、今は自分で打ってますよ。ハッシュタグ付けた方がいいかな、なんて言いながらね」
ツイッター上では山川とも交流した。監督業を終えた今、選手と距離が近くなったことが何より嬉しいと話す。
「選手との関係は“お友達”でいい。大歓迎です。源田からも連絡がきました。『5年契約させてもらって、生涯ライオンズです!』なんて言っていたから『良かったね、ありがとうね』という話をして。ユニフォームを脱いだら、選手たちは子供みたいなもんですよ。これからも常に気になって見ていくと思います」
指揮官の鎧を脱ぎ捨てたその顔は、父親のような温かさに満ちていた。
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