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「まるで別人」“怖がられていた現役時代”から激変…斉藤和巳45歳が明かす引退後“ゴルフ三昧→ホークス投手コーチ就任”の裏側「来たか、と」 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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posted2022/12/15 11:03

「まるで別人」“怖がられていた現役時代”から激変…斉藤和巳45歳が明かす引退後“ゴルフ三昧→ホークス投手コーチ就任”の裏側「来たか、と」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ソフトバンク一軍投手コーチに就任する斉藤和巳。「負けないエース」が明かす、引退後の生活やコーチ就任の経緯、目指す指導者像とは

「ずっとホークスで育ってきたし、引退してからも感謝の思いは忘れずに過ごしてきた。一軍投手コーチという大役を引き受けさせていただくということで、少しでもホークスに恩返しできたらと考えてるよ」

 ソフトバンクのキャンプ地、生目の杜(いきめのもり)運動公園はとにかく広い。メイン球場のすぐ隣にサブ球場があり、土と天然芝、人工芝のグラウンドもそれぞれ備わっている。ホークス投手陣は、朝のウォーミングアップをメイン球場で終えると、土のグラウンドに移動してキャッチボールで肩ならしをする。もとい、ただの準備運動ではない。キャッチボールこそ投球の基本動作だ。

 斉藤は目を光らせながら、キャッチボールの列を一回りした。全員の近くまで足を運んで投げる様子をじっと窺う。時折、声もかける。とはいえ指導をしている雰囲気ではない。選手それぞれの感覚や考えを収集しているように見えた。

“斉藤コーチ”の指導風景

 藤本博史監督は斉藤に期待することについて「厳しさ」と明言していたが、前述したように現役当時とは雰囲気が違う。「目を光らせる」と先述したが、決して威圧的ではなく、寄り添うと表現するのがふさわしい。キャッチボール後の“ショートスロー”メニューやノック、ランニングでは関西弁で厳しさの中にも愛ある言葉を投げかけ笑いをとる。「最後まで、最後まで」「ええよ、ええよー!」「練習ってのはヤバいくらいが練習。楽勝なのは練習ちゃうからな」と手の抜きどころなんて許さない。その代わり、やり切った選手は名前を呼んで褒める。その声で場は和み、斉藤も白い歯を見せて選手と一緒に大笑いしていた。

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