- #1
- #2
野球のぼせもんBACK NUMBER
「まるで別人」“怖がられていた現役時代”から激変…斉藤和巳45歳が明かす引退後“ゴルフ三昧→ホークス投手コーチ就任”の裏側「来たか、と」
posted2022/12/15 11:03
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
JIJI PRESS
◆◆◆
まるで別人…近寄りがたかった現役時代
伝説の大エースにはやはり独特な雰囲気と「華」がある。秋の宮崎のグラウンドに佇むだけでその姿は絵になった。
新任の一軍投手コーチとしてソフトバンクに帰ってきた斉藤和巳。名目は「2023年コーチングスタッフ」での就任だが、年明けを待つことなく11月の秋季キャンプから早速チームに合流していた。
ユニフォームに袖を通したのは約10年ぶり。
現役時代と比べて随分スリムになったせいか、192cmの高身長がより際立って見えた。違いは他にもある。あの当時は覇気や闘争心といった類のオーラを常に放っており、正直近寄りがたい印象だった。それと比べれば、まるで別人である。
キャンプ地でインタビューに応じてくれた斉藤にそんな思いを率直にぶつけると、いつもの関西弁で豪快に笑い飛ばされた。
「柔軟になって当たり前よ(笑)」
「(11月30日の誕生日で)45やからね。現役の頃を知っている人からは『変わったな』って言われるけど、柔軟になって当たり前よ(笑)。そりゃあ現役の頃はコミュニケーションの取り方も下手くそやったと思う。当時は選手として自分のことで一生懸命だったし、エースと呼ばれるようになってからはチームのことばかり考えとったから。それ以外のことには目配り気配りが行き届いていなかった。
だけど、(野球の)現場を離れた時、自分には何も武器がなかった。解説など野球に携わる仕事だったとしても、言葉で伝えるのはイチから勉強して。それに、沢山の人と会う機会にも恵まれたからね。そういったところで、昔よりもコミュニケーション能力が少し鍛えられたかな。まだまだ修業せなアカンと思うてるけどね」
03年に20勝3敗で最多勝、最優秀防御率(2.83)、最高勝率と3つのタイトルを獲得し沢村賞に輝いた。05年は開幕15連勝。06年にも18勝(5敗)、防御率1.75で上記と同じ3タイトルに加えて、最多奪三振、自身2度目の沢村賞にも選出され「投手五冠」と称えられた。
通算成績79勝23敗、勝率は驚異の.775。斉藤には「負けないエース」の代名詞がつけられた。