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試合後も涙、涙、涙…PK失敗の三笘薫は真っ赤な目で気丈に、南野拓実は報道陣に立ち止まれず…クロアチア戦直後“中継には映らなかった選手の姿”
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2022/12/08 11:02
クロアチア戦敗戦後、涙が止まらない三笘薫を森保監督は抱きしめた
クロアチア監督「その質問には答えません」
ズラトコ・ダリッチ監督が率いるクロアチアは、日本と対照的に出席選手には若いDFヨシュコ・グバルディオル(ライプツィヒ)を選出した。グバルディオルはクロアチアのメンバー26人中2番目に若い20歳。「モドリッチやコバチッチに続いて自分が会見に出られて光栄です」と嬉しそうだった。
全体的に余裕も感じさせながら質疑応答を続けていた2人だが、「今回のW杯ではクロアチア人女性ファンのイバンナ・ノールさんが大人気なので、彼女についてコメントをください」と求められた時はそろって困惑顔を浮かべ、ダリッチ監督は「その質問には答えません」と言い、グバルディオルも「私も答えません」とはねのけた。ノールさんとはクロアチア国旗柄の大胆な服装でスタンドから母国に声援を送っている女性ファン。肌の露出が多いため、戒律の厳しいイスラム教国家に対する冒涜だと批判も受けている。
「日本の森保監督がミキッチから日本の情報が漏れているかもしれないと言っていたが、ミキッチと話をしたか」と聞かれたダリッチ監督が、「いや、私たちにはスカウトも分析チームもいる」と否定する場面もあった。
運命のPK戦、日本は4人中3人が失敗し…
こうして迎えた運命のクロアチア戦。日本は前半43分、森保ジャパンがずっと課題にしてきたセットプレーから前田大然がW杯初ゴールを決め、日本に今大会初の先制点をもたらした。右CKのチャンスで堂安律がショートコーナーを選択し、鎌田大地、伊東純也を経由してリターンを受けると、左足クロス。吉田麻也が右足アウトで落とし、前田が蹴り込んだ。献身的な鬼プレスで日本の勝ち点奪取に貢献してきた前田のゴールは取った時間帯も良く、チームを一気に活気づけた。
CKで工夫を見せたことも、起点となった堂安のクロスも良かった。グループリーグ第2戦のコスタリカ戦では、日本のCKは5本あったがどれも単調。堂安も1本蹴っていたが得点には結びつかず、記者から「セットプレーはもう少しどうにかならないのか?」という趣旨の質問を受け、「逆にどうしたらいいと思いますか?」と目を一瞬とがらせていた。クロアチア戦では8本あったCKの多くがデザインされたものだった。
後半はクロアチアの底力を見せつけられた。2点目を取りに行った日本は攻勢をかけながら試合を進めたが、後半10分、1本のクロスでやられた。右サイドの展開からロブレンがゴール前に鋭い右クロスを入れ、巧みにマークを外したペリシッチが中央で頭を合わせた。
試合は1-1で突入した延長戦でも決着がつかず、PK戦へ。日本は4人中3人が失敗し、4人中3人が成功したクロアチアの前に屈した。