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大谷翔平だけが「MLB移籍で本塁打率がアップした日本人」の中で… 吉田正尚の成功可能性は?“欲しい時に安打を打てる”のは強みだが 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/12/04 17:00

大谷翔平だけが「MLB移籍で本塁打率がアップした日本人」の中で… 吉田正尚の成功可能性は?“欲しい時に安打を打てる”のは強みだが<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

日本一を置き土産に、メジャー挑戦を決断した吉田正尚。過去の日本人選手の成績から予測すると?

〈2022年〉
 119試合412打数138安打21本塁打88打点 打率.335
〈2023年〉
 150試合519打数148安打11本塁打37打点 打率.285

 打点は吉田が中軸を打てばもう少し増えるだろうが、この成績はMLBでは1番打者か6番以降の打順となろう。

 ただ、リーグの平均打率が.243しかないMLBではこの打率は優秀だ。ア・リーグなら規定打席66人中15位、ナ・リーグなら64人中8位に相当する。本塁打は少ないが、出塁率が.400以上あれば決して悪い成績ではない。

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 今季のMVP投票でも、レイズのヤンディ・ディアズは

 137試合473打数140安打9本塁打57打点 打率.296

 という成績で、ア・リーグのMVPランキング20位につけている。

守備と走塁が「泣き所」である

 打撃成績を見る限りは「合格点」のように見えるが、ディアズは三塁手だ。外野手の吉田にも、守備での貢献というもう一つの「成績」がある。

 吉田正尚の「泣き所」は守備と走塁だ。腰痛の持病があり、走塁を得意としているわけではない。そして外野守備はひいき目に見ても「標準レベル」というところか。

 今季はコロナ感染による戦線離脱もあって、吉田は39試合しか外野を守っていない。過去には規定試合数以上守ったこともあったが、外野手の肩の強さを示す補殺数は2019年の5が最多。一流外野手の指標とされる2ケタ補殺には程遠い。日本シリーズでも左翼を守って打球処理にもたつき、失点を許したことがあった。試合終盤には外野守備を他の選手に委ねることも多い。

 打率.280台、本塁打10本程度で、守備ではそこまで期待できない――となり、想定した成績でのDH専業は少々厳しい。これらを考えると、吉田正尚のMLB挑戦は、もろ手を挙げて賛成とは言いづらいのが率直な感想だ。

 MLBに挑戦した野手で、NPBに復帰することなくキャリアを終えたのはイチローと松井秀喜だけ。あとの選手はキャリア全盛期の数年を経て日本に帰ってきている。

 もちろんMLBでNPBでは手にすることができない巨額の年俸を得ることが期待できる。それも目標であり、そのことはプロアスリートとして全面的に首肯できる。さらに来季から、極端な守備シフトが禁止されるのは吉田にとって朗報だ。ただし活躍する期間があったとしても、数年で帰ってくる可能性が高いことは言えるだろう。

なぜ大谷翔平はあれほどまでに打てているのか

 同じパ・リーグで安打製造機として鳴らした秋山翔吾が成績を挙げることなく、NPBに復帰したことからもわかるように――フライボール革命以降のMLBの野球はNPBとは異次元のものになってきていると感じる。

「じゃ、大谷翔平はどうなんだ」と言う人は多いだろう。

【次ページ】 30歳前後でMLB挑戦するという難しさ

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