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夫の“遺言”で牧場を継いだら、なんと3億円の借金が!「馬を知らない女に何ができる」と陰口を叩かれた元タカラジェンヌの“華麗なる逆襲劇”
text by
伊藤秀倫Hidenori Ito
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/12/25 17:01
宝塚の花組トップ娘役にも抜擢された岩崎美由紀さん。競走馬の生産を行う牧場のオーナーになった経緯を本人に聞いた
牧場主と再婚し、叶った夢
こうして乗馬スポーツ少年団で小学校3年生から乗馬を始めた息子の崇文さんは、後に国体にまで出場する馬のスペシャリストとなるのだが、このことが後にヴェルサイユファームにとって大きな意味を持つことになる。
一方で美由紀さんはすでにシングルマザーとなっていたが2011年に再婚。そのお相手が札幌で会社を経営し、日高に三城牧場(後のヴェルサイユファーム)を所有していた実業家の小川義勝さんだった。
「私が馬好きだということを知っていた知人に、『馬が好きで牧場持っている人がいるから会ってみる?』と言われたんですね。当時、小川が奥さんを亡くして5年くらいで、私もシングルマザーになってから数年経っていたので、会ってみたというのがきっかけです」
結婚後、「馬と触れ合いたい」という美由紀さんの夢もようやく叶うことになる。
「おかげさまで、やっと乗馬を経験できました。ただ再婚したときはまだ息子が大学生と高校生だったんで、東京と札幌を行ったり来たりの生活だったんです。主人にとって牧場はあくまで趣味でしたので、こちら(日高)に来るのは月に1回ぐらい。それでも私が北海道に来るときは必ず牧場に行く、ということになっていました」
亡き夫の遺言「美由紀にあの牧場を継いでほしい」
義勝さんは、牧場経営は基本的に現地のスタッフに任せており、当然のことながら美由紀さんが牧場経営にタッチすることはなかった。
「主人が牧場の人とお話ししている間に私は馬たちにニンジンをあげて。ただのふれあいですね(笑)」
だがそんな日々も長くは続かなかった。義勝さんがすい臓がんに冒されていることが判明したのである。