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夫の“遺言”で牧場を継いだら、なんと3億円の借金が!「馬を知らない女に何ができる」と陰口を叩かれた元タカラジェンヌの“華麗なる逆襲劇”
text by
伊藤秀倫Hidenori Ito
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/12/25 17:01
宝塚の花組トップ娘役にも抜擢された岩崎美由紀さん。競走馬の生産を行う牧場のオーナーになった経緯を本人に聞いた
「休憩室にみんながいるとき、その場長が突然『オレたちの給料、払えるんですか?』と私に詰め寄ったんです。それで『あなたがそういうことを言うのはどうなの。そういうことは私がちゃんとやるんだから』と言って。実際に給料はちゃんと払っていたんですが、今にして思えば、彼らの不安もよくわかります」
当時10人ほどのスタッフがいたが、場長をはじめとするスタッフは次々と去っていった。
「その前に人件費の削減ということで育成部門を閉じて生産一本に絞ったので、育成担当のスタッフ4人ぐらいに辞めていただいていたのもありますが、最終的には元いたスタッフはみんないなくなりました。やっぱり何も知らない人がきて、『私についてきて』と言われても、ついていけないですよね」
言いたい人には言わせておけばいい
周囲の牧場関係者の視線も冷たいものだった。
「やっぱり『何も知らない女がいきなりやってきたって、できるわけがない』という風に仰っているのが、耳に入ってくるわけですよ。でも私がやるしかなかったので。言いたい人には言わせておけばいい、ぐらいに思っていましたね」
そんな美由紀さんに強力な「援軍」が現れる。息子の崇文さんである。
「息子はちょうど大学を卒業するタイミングで、就職も決まっていたのですが、そちらを辞退して北海道に駆け付けてくれました」
乗馬を通じて馬のことをよく知っている崇文さんの存在は心強かった。
競馬界の常識を覆す母子2人の「反撃」が始まった。
<#2に続く>
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