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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「鎌田大地は“戦える選手”なんです」東山高校・福重良一監督が明かす素顔と“W杯チケット秘話”「一応、恩師と思ってるんかなぁ(笑)」
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byNumber Web
posted2022/11/22 11:07
教え子・鎌田大地の活躍に目を細める東山高校サッカー部の福重良一監督。高校時代の鎌田のエピソードや、指導者としての“親心”を語ってくれた
成長したのは得点力だけではなかった。2年の冬には、新チームのキャプテンに就任。プレーでチームを牽引し、ピッチ外でもレギュラーではない選手たちのことを気にかける姿に、監督の福重は精神面での成熟を感じていたという。
2年生の2月に出場した新人戦。鎌田は味方のパスミスで相手に渡ったボールを、背後からのスライディングで猛然と奪い返した。ユースへの昇格を逃す要因となった攻守の切り替えやハードワークなどの課題に取り組んだ成果が表れたプレーだったが、レフェリーはイエローカードを提示。この判定に、福重は「ふざけるな!」と怒りをあらわにした。
「足ではなくボールに行っていたし、決して危険なタックルではありませんでしたから。言うまでもなくレフェリーの判定は絶対です。抗議そのものは指導者としてよくない行為だったと反省しています。でも、僕からしたら非常にいいプレーでしたし、大地をプロにするため、成功させるために指導したことに水を差さないでほしい、という思いがあった。彼が覚えているかわかりませんが、たぶん選手たちは『先生めっちゃ怒ってるやん』と驚いたでしょうね」
「大地はバチバチに戦える選手なんです」
今季、鎌田はフランクフルトでボランチとしても起用されている。10月15日のブンデスリーガ第10節、レバークーゼン戦の後半に見せた完璧なスライディングタックルなどは、高校時代に叩き込まれた守備意識の高さがわかりやすく表現されたシーンだと言えるだろう。
さらに日本代表でも、11月17日のカナダ戦でボランチとしてプレー。球際での強さを見せ、クリーンなボール奪取からのカウンターでチャンスを演出した。
「大地は飄々としているように見えるかもしれないけど、相手がバイエルンでもバルセロナでも、バチバチに戦える選手なんです。攻撃だけじゃなく、守備でもね。その強さは彼が努力を重ねて手にしたもの。『守備がダメだ』と言われてユースに上がれなくても、ひたむきにやり続ければこれだけすごい選手になれる。そこは多くの人にわかってほしいです」