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元人気女子レスラー・工藤めぐみが涙を流して語った、“夫・BADBOY非道(享年51)が亡くなった日”「後悔がどんどん募る。でも…」
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/11/11 11:03
現在53歳となった工藤めぐみさん。昨年亡くなった夫・BADBOY非道さんとの思い出などについて聞いた
夫の死から1年「後悔がどんどん募ってくる。でも…」
――亡くなったご主人もプロレスラー。一緒に生活していたころは、家のなかでプロレスの話をするものですか。
工藤 しない派でした。もともと自分の思いを表に出さない人で、愚痴も不満も言わない。口数は少なかったけど、そのなかで自然にプロレスのことを話さなかったんだと思うし、私もそれはわかってるんで、根掘り葉掘り聞くことはなかったです。ただ、私が観た試合にかんしては、「〇〇さんがケガしなくてよかったね」とか、そんな些細なことは話しましたけど、レスリングスタイルとか技とか、そういうことはまったく話さなかったです。
――無理しない範囲でお答えいただきたいんですけど……。昨年10月に旅立つ前、どのような容体だったんでしょうか?
工藤 体調はもう何年も前から悪くて。でも、病院嫌いだったので、行かなかったんですね。「体調が悪い」「だるい」とは言ってて、病院に行くことを勧めてたんですけど、ある程度たったら症状が軽くなっていくという、その繰り返し。後半は入退院を繰り返したけど、それも長期の入院ではなくて、少し入院して退院。コロナがはじまりつつあった時期だったので、入院しても面会はできず。
――2020年ですね。
工藤 ですかね。聞けば答えるけど、症状を自分から言わなかったので、「胃カメラ検査が終わった」とかは全部事後報告。私も把握することができなかったんです。心配かけたくないというのがあるみたいで、検査も「結果がこうだった」っていうのは、いつも終わってから。最後に病院に行ったときは、入院して1週間後。お医者さんに呼ばれたときは、「症状が前日とまったく変わってしまって」ということで……。
――「前日と違う」というのは。
工藤 前日に会えていて、「また本が読みたい」とか「〇〇を持ってきてほしい」と言われていたので、「じゃあ、次来るときに持ってくるね」と。翌日に行くと、もうしゃべれなくなっていた。生死をさまようほどの症状だったのに、それさえ私には伝えられていなくて。コロナ禍でもあって、ほかの患者さんに迷惑がかかるから、私も極力面会を控えていたんですけど、気がついたら「今日か明日(が山)」という告知を受けて。そこから次の日1日がんばってくれて、翌朝の夜明けの4時ぐらいに……。
――10月で1周忌をむかえました。今、どんな思いですか。
工藤 あの瞬間はほんとにつらくて、思考回路がめちゃくちゃで、コントロールもできなくて。1年たつと、みんなが、会う人会う人が、「時間とともに少しは落ち着いてくるよ」って言ってくれたけど、1年じゃ足りないし、1年じゃまだまだダメ……だった。逆に、後悔がどんどん募ってくる。でも、思っても何もできない現実もある。自分がこんなにダメージを受けるなんて思わなかったです。ずっと閉じこもってたけど、最近になって「これじゃいけない」って思うようになって、お誘いを受けたら極力、外に出ていくようにしています。