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野ボール横丁BACK NUMBER
金足農ナインは今、何してる? 教師の道、ベンチャー企業、野球を続ける「3人」…キャプテン佐々木大夢「いつかは秋田に帰りたいです。指導者として」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/11/04 11:03
2018年夏の甲子園で準優勝。“カナノウ旋風”を巻き起こした金足農ナイン。左端がキャプテン・佐々木大夢
佐々木 みんな驚いていましたね。高橋とは、教育実習でも一緒だったんです。「熱男」なので、生徒にも本気で接していて、カッコよかったですよ。
野球を続ける「3人」…金農ナインの今
――当時のメンバーで、これからも上のレベルで野球を続けていく人は吉田投手と、高校卒業と同時にJR秋田に入った「1番・セカンド」の(菅原)天空君と、それから「4番・サード」の打川和輝君が社会人で野球を続ける予定と聞きました。
佐々木 打川は、東日本国際大(福島)に進んだのですが、そこでも4番として活躍し、全国ベスト4にもなっています。大学に進学したメンバーの中では、彼がいちばん実績を残しましたね。
――大学進学が決まりかけていたとき、打川君は「おれ、野球はもういいし」みたいなところもあったと聞きましたが。もったいないですよね。
佐々木 僕も、もったいないなと思っていました。社会人でも野球が続けられるということは、大学でも彼が努力を怠らなかったからだと思います。
――吉田投手が日本ハムに入団するとき、5年後に新球場がオープンするので、そのときには開幕投手を任せられるような投手になっていたい、みたいな話をしたんですよ。そのときは、まだまだ先の話だと思っていたのですが、その新球場がもう来年オープンなんですもんね。まだ、何がどうなるかわかりませんが、本人もゆくゆくは先発で行きたいとは思っているんですよね。
佐々木 そうだと思います。先発として活躍している吉田も見てみたいですね。矢澤も日本ハムに入ったので、日本ハムの新球場に2人を応援しに行きたいです。
あの夏の記憶は「切り離して受け止めている」
――今でも金農のメンバーみんなで会ったりする機会はあるのですか。
佐々木 年末年始は、だいたいみんな秋田に帰ってくるので、毎年会って、わいわいやっています。
――甲子園でスターになった高校生に対して、いつも抱いてしまう危惧があるんです。これだけ若いときに、これだけの大きな栄光をつかんでしまったら、その後、生きていくのが大変になるんじゃないかな、と。というのも、甲子園は、浴びる光の量が強烈過ぎるじゃないですか。プロ野球など、さらなる大きな舞台に進めた選手はいいですが、そうではない多くの人は、その後、何を成し遂げても物足りなくなってしまうんじゃないのかなと思ってしまうんです。そういうことはありませんか。