31ー38という日本代表の善戦ぶりが何よりの興奮材料だったが、豪華な“ホスピタリティ”には参加者も大満足の様子だった。この試合で退場した元神戸製鋼のLOブロディ・レタリックのファンだという80歳のお父さんは「（レタリックは）わざと反則するような選手じゃないよ」と訴えながら大野均のサインを最後まで狙っていたし、円卓にやってきたレジェンドとの会話に感激していた男性は「もっとお金を払ってもいいぐらい」とスマホの写真フォルダを何度も眺めていた。

「ラグビー好きは優しい方が多いですね（笑）」

　一方で、有料イベントにもかかわらず、「19年W杯からラグビーを観るようになった」という“新規ファン”が多かったことも興味深かった。スタジアムに足を運んだことがないという男性は「ラグビー好きの人は優しい方が多いですね（笑）」と再訪を約束し、3年前の熱狂以来YouTubeでラグビー情報をかき集めるようなったという女性は「秩父宮（ラグビー場）に行ってみたい」と早くもチケット購入にトライしていた。

　多くの来場者が集まった「ホスピタリティ・ライブビューイング」。スポーツ中継の多様化が進む昨今、競技の魅力を発信する手段は今後も模索していくべき課題だろう。その意味で、今回のイベントは多くのヒントを示したのではないだろうか。

「またこんなイベントがあるといいな」

　桜のジャージを身につけたまま帰路につく参加者の笑顔が、その充実ぶりを物語っていた。