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外国人フォトグラファーが厳選する
ラグビーW杯決勝の「表」と「裏」。
posted2019/11/10 11:50
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph by
David Ramos/Getty Images
イングランドと南アフリカが激突した、11月2日のラグビーワールドカップ決勝戦。7万人以上の観客がつめかけた、歴史に残る一戦を制したのはディフェンスを主体とした「自分たちのラグビー」を貫き通したスプリングボクスだった。
マカゾレ・マピンピのキックからの躍動感溢れるトライ、コルビの俊敏なステップからの電光石火の動き、そして主将シヤ・コリシを中心としたFW陣の献身的な動き。南アフリカの選手を前に、知将エディー・ジョーンズ率いるイングランドは完敗を喫した。その熱気は今もまだ日本列島に残っている。
大いに盛り上がった大会のフィナーレを飾るに相応しい熱闘を、開幕戦から取材を続けてきた海外フォトグラファーたちはどのようにとらえたのだろうか?
NumberWebでは大会期間中、世界的なフォトエージェンシーであるGetty Images(ゲッティイメージズ)が撮影した膨大な写真の中から、カメラマンがセレクトした作品を短期集中連載で紹介してきた。連載最終回は、これまで登場した4名のカメラマンが、決勝戦で撮影した写真の中から自選したカットを思い入れたっぷりのコメントともに紹介する。
スプリングボクスの気迫と団結。
11月2日 横浜国際総合競技場
決勝/南アフリカvs.イングランド
<フランソワ・ネル選>
イングランドのコートニー・ロウズが、南アフリカのシヤ・コリシとボンギ・ムボナンビにタックルをされている瞬間だ。この試合は決勝戦の舞台にふさわしく、フィジカル面で過酷な闘いであった。写真を見ても、試合がどれだけ激しいものであったかがわかる。改めてこの試合を振り返り、南アフリカは彼らの好むプレイスタイルであるスクラムや、強いタックルで完全にイングランドを圧倒していたと感じた。
<ショーン・ボテリル選1>
エベン・エツベスがタックルを受けながらも、ダミアン・デアレンデに片手でパスをしている瞬間。この写真は、南アフリカの確固とした選手同士の信頼を示している。エツベスは、おそらくデアレンデが背後に回りこんでくることを予想してパスをしただろう。パスというよりは、「右手を後ろに伸ばしただけ」と言った方が正しいかもしれない。スプリングボクスのチームワークを象徴した1枚だ。