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菅原美優22歳「アンチもいる中で成長してきた」話題の美容師兼業ファイターを支えた“先輩・武尊のアドバイス”《特別フォトインタビュー》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byYuki Suenaga
posted2022/10/27 17:00
美容師との兼業、写真集発売などでも話題を集める菅原美優
菅原の言葉を聞いていると、所属ジム「シルバーウルフ」を設立した魔裟斗や武尊という“エースの系譜”に連なる選手だと感じる。現役時代、芸能活動は大変ではないかと聞くと魔裟斗は言った。
「いや、励みになりますね。芸能の仕事がくるのは格闘技で活躍したのが認められたからなんで」
武尊も練習時間をギリギリのところで調整しながら、テレビ出演や取材をこなしてきた。ハードスケジュールを見かねたスタッフが「今度の仕事は他の選手に頼もうか?」と聞くと、武尊は必ず「いや、自分がやりたいです」と答えたそうだ。注目される、話題になる格闘家は限られている。菅原もその1人で、限られた人間としての責任感をもって闘っている。
「常に今がピーク。そう思ってやらなきゃ」
魔裟斗や武尊に比べれば“エース”としての力量はまだ足りないだろう。注目されるのがそれだけ早かったということでもある。とはいえキャリア12戦ですでにベルトを巻き、K-1のトーナメントでも決勝に進出した。単なる“人気先行”でもないのだ。キャリアと実力と結果と知名度、そのバランスが取れていないようで取れていると言えばいいだろうか。
本人はそこに満足はしていない。「立場に実力が追いついてない。まだまだ伸びしろはあると思います」と言う。といって“成長過程”であることに甘んじてもいない。
「常に今がピーク。そう思ってやらなきゃいけないですね。“いつかもっと強くなって”とは言ってられないので。キャリア何年でピークにもっていこうとか考えると、それに合わせてしまいそうだなって」
本音を言えば、もっと実力をつけてから注目されたかった。けれど自分の実力に満足できる日をただ待っているわけにもいかない。
「大ケガするかもしれないことをやっているわけですから。いつやめなくちゃいけなくなるかもしれない。私の場合は拳をケガしても美容師の仕事に支障が出ちゃいますし」
だから今、突っ走るしかないんですよね。笑顔で言われるとドキッとするが、だからこそ菅原の決意には説得力があるのだった。
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