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「武尊さんみたいに気迫で前に出て…」大学1年生・松谷綺が19歳で狙う“K-1女子”の頂点《特別フォトインタビュー》
posted2022/06/24 11:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takuya Sugiyama
松谷綺(まつたにきら)は6月1日に19歳になったばかりの大学1年生で、プロ格闘家で、もしかすると25日にK-1チャンピオンになるかもしれない。
6月25日に開催されるK-1初の女子大会『K-1 RING OF VENUS』。松谷は初代女子アトム級(-45kg)王座決定トーナメントにエントリーしている。
4人制トーナメントだから2回勝つと優勝だ。松谷はプロキャリア7戦。優勝すれば9戦目、19歳のK-1王者誕生となる。
「こんなに早くチャンスがもらえて嬉しいです。トーナメントのメンバーの中で一番若くてキャリアも浅いですけど、逆に失うものが何もないので怖さもないです。勝てば美味しい(笑)。思い切りいけますね」
4歳から空手、高校ではダンス部に入りたかった
兄の桐(きり)と空手を習い始めたのは4歳の時だ。
「最初はいとこが習ってたんです。それでお兄ちゃんもやりたいって言い出して、きょうだい全員で道場に通うようになりました。自分がやりたいわけじゃなかったので、習い始めた頃のことは全然覚えてなくて」
空手の試合に出るようになったのは小学校低学年から。月に何度もトーナメントに出て腕を磨いた。男子と試合をすることもあった。中学生でキックボクシングに転向し、高校生でプロデビュー。ここまで7戦5勝2分と無敗である。パンチも蹴りもバランスよく繰り出すオールラウンダー。まだKO勝利はないものの、パンチでダウンを奪う場面を見ると攻撃力はかなりのものだ。
昨年、K-1で2階級を制覇した技巧派・卜部功也のジム「ALONZA」にきょうだいで移籍しK-1系イベントKrushに参戦。2連勝でK-1トーナメントに選出された。幼少期からの豊富な経験、落ち着き払った闘いぶり。我々が抱くイメージは“格闘エリート”だ。
だが本人は「全然そんなことないです」と苦笑する。格闘技をやめたいと思ったことは何度もあるそうだ。ダンスや水泳を習っていたこともあるし、高校時代もダンス部に入りたかった。「先輩たちがみんな可愛いしカッコよくて」。でもジムでの練習があるから部活はできなかった。その時すでに、彼女はプロだった。