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菅原美優22歳「アンチもいる中で成長してきた」話題の美容師兼業ファイターを支えた“先輩・武尊のアドバイス”《特別フォトインタビュー》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byYuki Suenaga
posted2022/10/27 17:00
美容師との兼業、写真集発売などでも話題を集める菅原美優
試合用コスチュームにも店のロゴが入っている。つまり菅原はプロであると同時に企業に所属する社会人アスリートでもあるわけだ。働きながら、試合のスケジュールや練習時間などは融通をきかせてもらってもいる。
「だから余計に負けられないんですよ。負けてばっかりなのに“練習行ってきます”とは言いにくいので(笑)。美容師は厳しい世界だからやめていく人も多いです。私の同期も半年で全員やめてしまって。でも私はやめるわけにはいかない」
「でもみんなが目立とうとしないなら、私がやるしかない」
なぜなら、彼女がリングに上がる時には職場の看板も背負っているからだ。そして勝つだけでなく、K-1・Krush女子を世間に広めるという意識も強い。ツイッター、インスタグラム、TikTokとSNSに写真や動画を頻繁に投稿。それをメディアがすぐに紹介する。プロとして見せ方も意識している。だから目立つし、アンチの気にも障る。
「最近は自分よりキャリアの浅い、若い女子選手が増えてきてるんですよ。10代でプロが当たり前になってます。みんな可愛いし。だから“私はもう可愛い担当は引退します”ってよく言うんです(笑)」
みんなで女子戦線を盛り上げていけたらいい。そういう思いもあるのだが、とはいえやはり「自分がやらなければ」とも考えている。
「6月の女子大会までは、みんなSNSも盛り上げようとしてたんですけど、終わったらそこで落ち着いちゃった感じがします。もちろんSNSというやり方だけじゃなくていいんですけど、何かアピールしてほしい。練習を一生懸命やるだけでは足りない。それは当たり前のことなので。
今は私が1人で目立ってしまっているのかな、悪目立ちしてるかなっていう感覚もあります。でもみんなが目立とうとしないなら、私がやるしかないなって」
SNS更新の裏に「武尊からのアドバイス」
菅原にとっては、SNSの更新も仕事のうちだ。ファンからの好意的な反応は嬉しいが、それだけを求めているのではない。“自己宣伝”や“可愛いアピール”と受け取られるのは、実は本意ではない。それでもやり続けるのは、武尊からのアドバイスもあったからだ。
「SNSはめんどくさいかもしれないけど、やったほうがいいよ。今の時代はそれも仕事のうちだから。ちょっとしたことでも載せればいいし、載せるだけでいいんだし。携帯使ったら世間が自分のことを知ってくれる、それで試合を見てくれる可能性が高まるんだから凄いことじゃない」
そう言われて、凄い先輩だなと思った。
「これは自分にしかできないことなんだ。そう思ってやってます。そう思わないと(気持ちが)もたないっていうのもあるんですけど(苦笑)」