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「今回のドラフトは成功」ベイスターズスカウトが明かす指名10選手に込めた思い「上位候補が少ない中で狙ったのは…」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byJIJI PRESS

posted2022/10/27 11:02

「今回のドラフトは成功」ベイスターズスカウトが明かす指名10選手に込めた思い「上位候補が少ない中で狙ったのは…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ドラフト会議の翌日、指名あいさつに訪れた三浦大輔監督とドラフト1位で指名された松尾汐恩。ドラフト指名に込めた思いをスカウトグループのリーダーが明かした

「もちろんゴロを打たせるピッチャーも十分評価しているのですが、やはり空振りを取れるボールといった武器がひとつあるのは、我々にとって選手を評価する上で魅力のひとつでもあります。例えば一軍のゲームを観ていても、そういう武器がないとファウルで粘られて、コントロールミスをしたときコンタクトされる場面が散見しますし、やはり空振りを取れるボールを持っているのは単純に惹かれるものがありますね」

投手と打者を見極める上で大事にしているポイントは?

 これまで数多くの選手を担当してきた八馬氏であるが、例えば投手と打者を見極める上で大事にしているポイントはどこになるのだろうか。

「ピッチャーであれば、以前は速いボールを投げる、ポテンシャルが高いということを注視していたのですが、年を追うごとに感覚の良さというか、しっかり変化球をコントロールできるという部分に重要性を感じています。もちろん出力が高いに越したことはないのですが、今はトレーニングが進化しているので、球速を上げることは後からでもできる。しかし制球力など感覚の部分は、持って生まれたセンスが重要になってきます。そこで特に重要視しているのが股関節の使い方です。現在の生活習慣の影響なのか股関節の固い投手が多く、そこは気をつけて見るようにしています。そこはバッターも同様で、股関節や足首の使い方に加え、タイミングやコンタクト能力など元々持っている感覚的な部分を見ますね。あとはピッチャーのテイクバックもそうなのですが、トップの作り方を見ていますね。トップというのはなかなか修正できないものなので、そこがしっかり決まって自分の軸で回れるようなバッターは高い評価を付けるようにしています」

八馬氏が担当した伊勢は今季、大車輪の活躍

 これから入団してくるだろう選手たちが果たしてどのような活躍、また成長をしてくれるか。八馬氏が3年前に担当したリリーバーの伊勢大夢は、今季は両リーグ最多の71試合を投げ、チームMVP級の働きをした。「ちょっと体は心配ですけど、本当に嬉しいですよ」と、八馬氏は笑顔を見せる。

「スカウトにとってチームが勝つことはもちろん、獲得した選手が試合で活躍したり、初勝利を挙げたり、育成から支配下登録になるなど嬉しい場面はたくさんあるのですが、やはり選手の成長が一番の喜びですね。今回交渉権を獲得した即戦力や将来性を見込まれた選手が今後どうなっていくのか楽しみに見守りたいと思います」

 しかし気持ちはもう来年へと移っている。

「安堵したのはドラフト会議直後のほんのひと時で、また始まるなって感じています」

 ドラフト会議はひとつのゴールであり、同時にスタートでもある。有望な選手を求め、全国を行脚するスカウトたちの旅がまた始まる。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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