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〈パリ世代欧州組〉斉藤光毅と田中聡に現地で直撃「もちろんW杯に出たい。ただCL決勝で…」「遠藤航さんみたいに」
posted2022/10/24 11:04
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
10月8日、オランダ・ロッテルダム――。
斬新なデザインの大屋根が目を引くロッテルダム中央駅から歩いて30分ほど。1916年に設立されたオランダ最古のサッカー専用スタジアムであるヘト・カスティールの正面入り口で、2年後のパリ五輪を目指すU-21日本代表の大岩剛監督とばったり会った。
お目当ての選手は同じ。このスタジアムをホームとするスパルタ・ロッテルダムに所属する斉藤光毅――。
「飯尾さんも光毅を見に来たんですか?」と気さくに話しかけてくれた指揮官は、前日にもスパルタの練習場を訪ねるなど、9月に行われたスペイン・イタリア遠征の流れから精力的に視察を続けているようだ。
オランダで存在感を発揮し始めている斉藤
21年冬に横浜FCからベルギー2部のロンメルに加入した斉藤は、今夏から戦いの舞台をオランダ1部リーグに移している。
9月3日のフォレンダム戦で後半途中からピッチに立つと、2アシストをマークする最高のデビューを飾る。11日、同じくロッテルダムを本拠地にするフェイエノールト戦では前半途中からFWとして投入されて果敢にドリブルを仕掛け、何度もチャンスメイク。17日のフローニンゲン戦でスタメンを勝ち取った。
この日のエメン戦はベンチスタートだったものの、1-1で迎えた77分に斉藤が登場すると、スタジアムが大きく沸いた。入ったのは左ウイングである。
出場直後はドリブル突破を試みて見せ場を作り、サポーターの喝采を浴びた斉藤だったが、その後は左サイドバックがアーリークロスを連発して、なかなかボールを受けられない。チームは2点を奪って快勝したが、試合後、広報に連れられてミックスゾーンにやって来た斉藤は少し不服そうだった。
「あの時間は相手の足も止まってくるので、自分に求められる役割も分かりやすかった。でも、今日はあまり良くなかったですね。相手を背負ったときに慌ててしまって。途中出場でも安定したメンタリティを持って、落ち着いてプレーしないといけないなって思っています」
「一番うまい自信はあるんですけど、まだ…」
スパルタはいかにもオランダらしい4-3-3のシステムを採用。両ウイングにはドリブルの得意な選手を配置し、中央に大柄なセンターフォワードを据えている。そのなかで斉藤はウインガーとして期待されているように見えるが、斉藤自身はFWとしてのプレーにこだわりがあるらしい。
「一番やりたいのは、真ん中で裏抜けからゴールを奪うことなんですけど、あまりFWとして見られてないんですよね。練習ではFWのときもいいプレーをしているつもりなんですけど。ただ、そこに固執して試合に出られなくなるのが一番嫌なので。タイミングを見ながら、そういうプレーを出してアピールしていきたいです」