Jをめぐる冒険BACK NUMBER
〈パリ世代欧州組〉斉藤光毅と田中聡に現地で直撃「もちろんW杯に出たい。ただCL決勝で…」「遠藤航さんみたいに」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2022/10/24 11:04
それぞれオランダとベルギーで研鑽に励む斉藤光毅と田中聡に現状を聞いた
しかし、コルトレイクでは中心選手というわけではない。適切なタイミングで味方の視野に入り、ボールを預けたくなるようなポジションを取らないと、ボールを受けられない。
「こっちの選手は『自分が、自分が』という意識が強いんですけど、自分がもっと信頼を得られたら、もっとパスをもらえるようになると思います。それに、こっちではガシャって、日本ではあまりないような潰され方もする。だから、相手から離れてボールを受けて、体をぶつけられる前にボールを放したり、ドリブルをしたりするように意識しています。さすがに感覚だけではもう通用しないので」
ベルギーで通用する実力が付いたら、遠藤航さんみたいに
田中もU-21日本代表の欧州遠征に参加し、スイス戦では途中出場、イタリア戦では先発出場を果たした。
「日本人とやれるのは楽しいし、コミュニケーションも日本語でできるので分かりやすい。でも、代表に行くといつもあまり良くないんですよね。スイス戦のあとも(藤田)譲瑠(チマ)に『もっと受けろよ』と怒られたし(苦笑)、イタリア戦でも試合中に大岩さんから『聡! 聡!』と指示されて。クラブでボールの受け方を習得できたら、代表でももっとスムーズにボールを受けられるようになる。そこは昔からの課題なので、突き詰めていきたいです」
1年間の期限付き移籍のため、まずは結果を残して完全移籍することが目下の目標だ。その先にはドイツでプレーすることを夢見ている。
そこで挙げたのは湘南U-18の先輩の名前である。
「こっちではまだ自分が躍動できた試合がない。ベルギーで攻守両面で通用する実力が付いたら、遠藤航さんみたいにドイツにステップアップしたいです。日本人がドイツで『デュエル王』って凄い。バケモノですよね(笑)。僕もその世界を経験してみたいんです」
堂安律、冨安健洋、田中碧、三笘薫……と、東京五輪世代の選手たちは次々と海を渡り、今では日本代表の主力選手となっている。次は彼ら、パリ五輪世代の番だ。U-21日本代表メンバーでは、斉藤、田中のほかにも内野貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)、小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)、チェイス・アンリ(シュツットガルト)がヨーロッパでプレーしている。
おそらく今冬や来夏には、さらに国境を越える選手たちが出てくるだろう。24年のパリ五輪、26年の北中米W杯で輝くために、若き代表選手たちの異国での挑戦は続く。