「やれることは全部やりたいんですよ」

　AEWの大会は毎週水曜日。月に一回のペースで日本に戻り、土日に試合をしてすぐ飛行機に乗れば、欠場しなくてもスケジュールを消化できる。とはいえ日米での試合に加えて『魔界』出演はかなりハードではないか。来年からは、活動休止中の座長公演『コルバタ志田組』も再開させたいという。

「やれることは全部やりたいんですよ。“忙しい”とか“大変だから”でオファーを断ったり諦めたくなくて。アメリカも主戦場、日本も主戦場。プロレスもやるしお芝居もやる。何か一つ欠けたら志田光じゃないと思うので」

　志田はプロレスを始めてから「夢が叶いまくってる」そうだ。プロレスをやることで映画に主演することができたし「ドラマも出て歌も歌って。プロレスラーだからいろんなことができました」。海外での活動も、昔から憧れていた。

　逆もあるという。表現力など、舞台で培ったものをプロレスにフィードバックすることでレベルアップしてきたのだ。

「少し前にやった『魔界』の殺陣は今までにないくらいのスピードだったんです。“だったら同じ速さでリングでも動けるんじゃないか、私”って。いろんな活動が全部、影響し合ってますね」

日米を往復するタフなスケジュールの中でも「やれることは全部やりたい」と語る志田

「志田光が燃え尽きるさまを見てほしい」

　アメリカでの試合と同時進行で日本でも闘う。プロレスをやりながら演技の仕事もする。そういう状態を、彼女自身は「志田光をやっている」と表現する。

「どんなレスラーになりたいか、どんな役者になりたいかというより、目標は“より魅力的な志田光になる”ことです。私はなんでも全力だから、批判される時もある。“そのスケジュールは無理”とか“なんで舞台の期間中にプロレスの試合があるの”とか。でもやれているので。やれるのにやらない理由はないですよね」

　スタートの時点からそうだった。映画に出るためにプロレスをやる。どちらの世界からも「ナメるな」と言われそうなことをやって、志田は世に出た。そして自分の存在を認めさせた。

「人から無理だと言われれば言われるほど、無理じゃないって証明したくなるんです」

　デビューする際、リングネームを勧められたが本名にした。“志田光”としての道を歩んで、それを世の中に刻み込みたいと思ったのだ。

「志田光が燃え尽きるさまを見てほしい」

　リングでもステージでも、アメリカでも日本でも、どの団体のベルトを巻いても、そのすべてが志田光。そして自分を構成する要素が増えれば増えるほど、志田光は激しく燃え盛る。

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