今は満員の大会場で声援を浴びながら試合ができる。「楽しくて仕方ないです」と志田。アメリカ各地で試合をしながら心がけているのは、再度の戴冠を狙いつつ“定番”をおろそかにしないことだ。

「日本では首都圏の興行が多くて、常連さんもいます。同じファンの方に週3回お会いするなんてことも。でもアメリカは広いですからね。会場でプロレスを見るのは年に1回のお祭りみたいな感覚。遠征してきたり、この日だけは子供も学校を休ませて、っていう。

　“テレビで見ていた志田光の試合をやっと生で見られる”という人が多いんです。そういう人たちには、得意技のファルコンアローだったり“志田といえばこれ”という技をできる限り、見せたいです。試合だから勝ち負けはあるんですけど、帰る時に“志田の試合が見られてよかった”と思ってほしい」

　自分の試合を今日はじめて見る人がいる。だからどんな試合でも手抜きはできない。史上最高のベースボール・プレイヤーの1人であるジョー・ディマジオも、かつてそう語ったそうだ。志田もアメリカで、そんな“メジャーリーガーの心得”を掴んだのだろう。

「日本の女子プロレスが世界最高だと思うんです」

　一方で、今年からは日本での試合も再開した。“日米同時進行”は、以前からのプランだった。志田は何年も前から演劇と音楽、プロレスをミックスしたエンターテイメント舞台『魔界』の主要キャストを務めており、AEWとの契約も『魔界』出演を続けることが前提だった。

「私にとって『魔界』は一番大切な活動の一つです。プロレスと女優、両方やってこその志田光だと思っているので」

　志田がAEW入りすると、『魔界』はコロナで公演を休止。今年になってレギュラー公演が再スタートしたのを機に、帰国時に試合もすることになった。ようやく、元々やりたいことができるようになってきたわけだ。

「久しぶりに日本で試合してみて思ったのは“やっぱりこれだな”と。アメリカでも求められた日本の女子プロレスを体感して、凄く気持ちよかったです。前から言ってるんですけど、私は日本の女子プロレスが世界最高だと思うんです。それをたっぷり味わって、アメリカに持って帰るという感じですね」

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