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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「川島永嗣さんはマジで凄い」「30なんて、始まったばっかでしょ」シュミット・ダニエルが語る“世界的GK”とW杯への思い
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/10/29 11:01
エクアドル戦でのシュミット・ダニエル。自身にとって初となるW杯出場に向けて、ベルギーの地で研鑽に励んでいる
――GKウォッチャーとして有名なシュミット選手がいま注目しているGKは?
「ACミランの(マイク・)メニャンですね。クロスへの飛び出しが好きなんですよ。彼はボールにアタックするのがうまくて、何がなんでも、どうにかして止めてやるという気迫もすごく感じる。それに、チームメイトから信頼を得ている感じも伝わってくる。こういうGKになりたいと思わせてくれるのが、メニャンかな。もちろん、(マヌエル・)ノイアーや(ティボウ・)クルトワも結局、観ちゃいます(笑)。スペインなら、マニアックですけど、カディスのGK(ジュレミアス・レデスマ)もいいですね。あと、(レアル・)ソシエダのGK(アレハンドロ・レミロ)もうまい。観ていて楽しいです」
30なんて、始まったばっかでしょ
――ベガルタ仙台時代にインタビューをさせてもらったとき、「自分はGKとしてのキャリアが浅いから、逆にのびしろがたくさんあると思っていて、自分の未来にワクワクしている」と話していました。30歳という節目の年齢を迎えて、その思いに変化はありますか?
「変わりはないですね。まだまだ行けるとは思います。30なんて、始まったばっかでしょ、みたいな(笑)。そういう風に思うし、そういう風に思いたい自分もいるし、そういう風に周りからも思ってもらいたい。30歳を過ぎてからうまくなったGKなんてたくさんいるから、いつからでも変われると思うし、まだまだ上を目指せると思っています」
――日本代表に関しては、W杯予選に出られなかったり、要所要所でアピールがうまくいかなかったりして、焦りもあった?
「いや、焦りはないですね。カタールW杯のピッチに立つことを狙っているけど、僕はその次のW杯も狙っています。それよりもまずはステップアップですね。日本人のGKがヨーロッパのトップレベルの舞台でプレーしている姿を見せたいし、日本人のGKでもやれるんだぞ、というところを見せたいと思っています」
――プロになってしばらく試合に出られなかった頃、奥さんが『ぼちぼちいこか』という絵本を買ってきてくれて、「遠回りが多い自分の人生に合っていた」と言っていました。でも、ことステップアップに関しては、「ぼちぼちいこか」と言っている場合じゃない?
「間違いないですね。獲得する側は、やっぱり年齢も気にするでしょうからね。ステップアップに関しては、焦りもあります。ただ、これを達成しなきゃ人生を終われない、というほどの確固たる目標というわけでもなくて。ダメだったら、柔軟にキャリア設計を変えられるタイプなので。変に自分にプレッシャーをかけ過ぎると、うまくいかないこともあるので、程よく逃げ道を用意しながら。だからやっぱり、ぼちぼちいこか、っていう感じです(笑)」
<前編からつづく>